淋しさから生まれた感情 ..... dear my friends, 香様



最初は別に何もそのひとに対して感情は持っていなかった。
感情なんかないんじゃないかと思う程無表情で。
何を考えているのかよくわからない、無口な先輩。
俺にとってはどうでもいい存在だったんだ。

「試合・・・?」
「そうだ・・・1セット、やらないか?」

いきなりそう言われて・・・やった、試合。
結果は俺の負けだった。惨敗だった。
あんなに強いひとだと思ってなかった。繰り出されるプレーからも伝わる、想い。でもそれで"部長"というひとが何か掴めたような気もした。

そのひとが―――部長が俺の目標になってから、同時に俺は部長にちょっと興味が引かれた。

だから、俺は・・・。








「リョーマ君」
部活が終わろうとしている5分前―――整理体操中小さく自分を呼ぶ声がした。
腕のストレッチをしたまま振り向くと案の定、そこには微笑みを浮かべた不二先輩がいた。
「明日の土曜は第二で休みでしょ?今日はボクの家に遊びに来ない?」
断る理由もなかった。
・・・それに、不二先輩の「来ない?」は「来るよね」と言ってるようなものだった。口で勝てる相手でもない。

「いっすよ」

泊まる=抱く。
定義された公式のように決まっている、方程式。それでもよかった。

ただ、その空白を埋めるために―――。










「・・・・はっ・・・ん」

不二先輩はハッキリ言って上手かった。
別に俺も初めてって訳ではなかったけれど、すぐに不二先輩の手に落ちた。
最初に抱かれたのはいつだったか―――入学してすぐに、そう誰よりも早く接点を求めてきたのがこの先輩だった。巧みに話しかけてきて・・・。キスをされた時嫌じゃなかったから、そのまま抱かれた。抵抗しない自分が不思議だった。けれど不二先輩ならいいかなって、失礼だけれどその程度のものだった。
それからは繋がりを切れないように、定期的に抱かれるようになった。

「愛してるよ・・・リョーマ」

こう、不二先輩は毎回抜いた後耳元で優しく囁いてくれる。―――俺が何も言わないのを分かっていても。
けれど俺にはその言葉は呪縛のように聞こえる。不二先輩にそう言われると、俺は不二先輩という檻に捕らわれて離れられなくなるから・・・。

どうして、俺は、その言葉に同じ言葉を返すことが出来ないんだろうか。









なんとなく。

最初はなんとなくだったんだけど、気付いてしまった。
リョーマ君と手塚が試合をしたらしいこと。大石に聞いて確かめたから確かなものとなった。
試合をしたらしい日の後からリョーマ君は変わった。
良い意味での変化だった。
"敗北"という貴重なステップを踏んだ君は、より強さを求めどんどん強くなる。強さへの可能性を見出し始めた。

悔しかった。

リョーマ君に最大の影響を与えたのが、手塚だったというただそれだけの事実が。
けれど、それでもリョーマ君の心の中に住んでいるのがボクだったらまだ良かったんだ。何度ボクに抱かれても、リョーマ君の中にボクが住むことはなかった。いままでは誰も、そう誰も彼の心を繋ぎとめておくことが出来なかったから。だからボクは救われた。
なのに。
手塚の存在は大きかった。
無意識に、彼にその姿を追わせる程に。
リョーマ君程の強さに手塚が手加減したとは思えない―――むしろ本気でかかった筈だ。本気でやって、変化していくその少年を、手塚が気にかけないわけがなかった。そしてある日気付いてしまったんだ・・・手塚の、そのリョーマを見つめる優しい視線に。
将来を期待しているとかそれだけでない想いが視線の中にあった。
そしてまたリョーマも手塚に興味の視線を向ける・・・。

壊れそうだった。

壊れそうだった。

「許せない・・・」


ボクからリョーマ君を奪うのは。














部活が終わって着替えに部室に入ると、もうみんな帰った後だった。
リョーマも早く着替えてしまおうとロッカーに近づく。するとガチャと扉が開いて部長が入って来た。
「あ・・・部長。お疲れ様っす」
「あぁ・・・お疲れ」
手塚はそのまま奥の机に座り部誌を書き始めた。リョーマをさっさと着替えを済まそうとバサっとシャツを脱いだ。
その時に、手塚は一瞬顔を上げてリョーマの身体を見た。
小柄だか筋肉がついていて・・・何よりその綺麗な容貌。黒い髪が妖艶に美しさを際立たせる。
リョーマは見られていることに気付き顔を手塚に向けた。
「部長・・・?」
アンダーシャツを急いで着て、同時に動きを止める。
長い、時間がたったように感じられた。気がつくと手塚はリョーマに触れようとしていた。ふと我に返り、伸ばしかけた手を引っ込めた。リョーマはその様子をじっと見ていた。

「すまん・・・気をつけて帰れ」
そう言ってもう一度机に向かい部誌を書き始める。
「・・・部長」
呼称を呼ばれ顔を上げた手塚にリョーマは押しつけるように、反動的にキスした。それは段々長くなっていって、リョーマは自然手塚の口を割って舌を入れた。
「・・・んっ・・・」
息遣いが漏れる。
手塚はどん、とリョーマの小さな身体を突き放した。そのままその場に崩れ落ちる。


「何を、する・・・」
「なんでだろう・・・俺アンタのことなんて気にもしてないのに」
「何・・・」
「何かしたいと思って動いちゃったんだよね・・・深い意味はないんで気にしないでください」

気にしないで・・・。
そう、俺は別に部長なんて何も思ってない・・・。
ただ、ちょっとだけ興味があっただけだから・・・。

自分の中でもよくわからない空白の感情。わからないまま衝動的に動いた結果だった。


「それじゃ帰るっす。また明日」

そういってそのまま去ろうとするとガチャと部室の扉がまた開いた。

不二、先輩・・・。

「あれ、リョーマ君これから帰るの?じゃぁ一緒に帰ろうか。ボクも用意済ませてすぐ行くからちょっと外で待ってて」
そしてぐいっとリョーマの腕を引くとその唇を思いきり塞いだ。
「やめ・・・っん、・・・っ」
抵抗するも不二はリョーマの舌を絡めとりすべてを持っていった。

「ちょっと待っててね」
何事もなかったように唇を離し、荷物の整理に向かった。
赤くなってリョーマは軽く頷いて、手塚に軽く会釈して部室を出た。
残された不二と手塚はお互いの作業をそのまま続けた。
「じゃぁボクも帰るね。お疲れ、手塚」
そういってバックを軽く持ち手塚に別れを告げる。
「あぁ・・・また明日な」

そのまま別れるつもりだった。
その時、もう一度不二が口を開いた。

「渡さない」
何を言っているのか理解出来ないままに手塚は不二の次の言葉を待ち顔を上げた。
「リョーマ君はボクのものだよ。君には絶対渡さない・・・」
そう、どんな手を使ってもね・・・。






閉じた扉の向こうに行ってしまった2人を思って手塚はまったく書けない部誌を閉じた。
そっと唇に手をやりリョーマとのキスを思い出す。・・・それから見せられた2人のキスを。
渡さないと言った不二。俺が、越前を欲しがっているとでも言うのだろうか。
越前はただの部活の後輩で・・・。


ただ、自分の中がもう一度あの身体を求めて疼いていた。




written by koo hiduki .....






またか・・・というカンジなのでするが、キリリク失敗作品(をい)。
でもこれも香さまに献上します(いらん)。難しいなぁ。
3人の思いを上手く交差させるのが恐ろしく難しいです!(きぱっ)
下手するとbehind〜と変わらないってカンジなんですけど・・・心持ち違うんですよーー!
あっちは塚リョに無理矢理不二さまがやってる(言うな)んですから!
コッチは王子がまだ幼いからいろんな快感を衝動で求めてるってカンジ・・・?(意味不明)

・・・墓穴掘りそうなのでこの辺で。



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