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王子の憂鬱 ***Side Ryoma 最近先輩の様子がおかしい。 傍から見ただけじゃよくわかんないだけど、やっぱりおかしい。 おかしいのはもしかしたらオレに対してだけかもしれない。 オレがこんなに側にいるのに何にもしないなんて。 練習試合待ちで隣に座っていたって全然触ってくんないし。 キスはおろか抱きしめてもくれない。 いつもだったら見せ付けるようにくっついてくるのに。 ねえ、なんで? 考えたくないんだけど・・・ もしかして、先輩オレのこともう飽きちゃった? オレもう先輩がいなきゃダメなのに。 それなのに。 オレはそれからずっと木の下でぼーっと考えていた。 すると。 「おチビ?」 上の方から聞きなれた声が降ってくる。 リョーマの待ち望んでいる声ではなかったが。 「え?あ、きくまるせんぱい・・・」 リョーマは声の主の方へと顔を上げた。 「えっえっ。どしたの?な、なんでないてんのっ?」 「オレ泣いてなんか―――」 いない、といおうとして自分のひざにかかるなまあたたかいモノを認める。 オレ、泣いてたんだ・・・ 菊丸は少し考えてから、最近様子の違うクラスメートのことを思い出す。 「んー・・・もしかして不二のことかにゃ?」 ずばっとそのナマエを言われてリョーマは、またぼろぼろと涙を流し始めてしまった。 傍からみれば、それは明らかに菊丸が泣かしたようなものである。 「ええっ、、ごめん・・・ビンゴ!?あー泣かないでにゃ〜」 菊丸はそっとまわりから隠すように、小さな後輩の身体を包むように抱きしめた。 あったかい・・・ でも、違う・・・ いまオレがこうして欲しいのはこのひとじゃない・・・ そんなことを思いながらももう少しこのあたたかさに甘えさせて貰うことにした。 それから、ホントにこうしてほしかったひとのことを思った――― ―――不二先輩・・・ 泣きつかれてリョーマはそのまま目を閉じた。 ぱち。 目を覚ましたら部室だった。 「あ、おチビ起きた〜?」 ぐるっと見渡すと菊丸先輩、桃城先輩、大石先輩に部長、それに・・・不二先輩がいた。 不二先輩は部室の出入口の扉に黙って寄りかかっていた。 仕方なさそうに。 少し、いらただしそうに。 「あ。・・・せんぱい」 思わず、呼んでしまっていた。だけど、どうしたいいのかわからない。 呼ばれた先輩は少しこちらに視線だけやる。 「なに?」 何って聞かれても。何て言ったらいいんだろう。 ワカンナイ。 「越前くん、大丈夫だったんならもういいよね。僕いくね」 「ちょっ・・・不二・・・!」 菊丸が急いで止めようとするがばたんと音を立て扉はしまった。 オレと先輩が切れた音のように 「ふぇ・・・・・・」 また涙があふれてきた。 「ねえ、何で?何で先輩側にいてくんないのぉ・・・」 側にいた部員達は泣き続けるリョーマに不二の行動には不可解のために何をいってやることもできなかった。 次の日もその次の日も 先輩はオレのこと見向きもしなかった――― ***Side Fuji 今日もリョーマくんが僕を見ている。 キミのその大きな瞳は今にも泣き出しそうな、そんな目をしていた。 僕がいなくたってエージとか彼を大切に思う存在は他にもいっぱいいるんだ。 だから・・・大丈夫 お昼休みになってクラスメートの誘いを断って1人屋上の方に上がって僕は一息ついた。 いい天気・・・ 僕の気分は正反対のようだったが。 「リョーマくん・・・」 僕は愛しい彼の名前を呼んでみた。 こんなところにいるわけないのにネ。 最近リョーマの顔が曇りがちなのもすべて僕のせいなのだろう。 ボクがリョーマくんを大切に思うように彼もそういう思いを返してくれた。 けれど・・・ ヤバいとは思っていた 僕は彼を大切に思い過ぎてしまった。 コワイ・・・ 怖い?僕が? 何に? 「ふーじっ」 「・・・」 名前を呼ばれて振り返ればそこにはクラスメートの英二の姿が目に入った。 「お昼一緒に食べようと思って。ほい、パン買ってきた」 英二の手から落ちてきたパンは5つ。 「・・・あまそーだね」 「うん?そうゆうと思った。不二にはこっちね」 目の前にあったメロンパン(クリーム入り)の奥からからあげぱん(辛め)が出てくる。 英二に貰ったパンを食べている間ぼくらは無言だった。 「何かとごちゃごちゃつもりはないケドね?不二?」 英二は少し怒った風にいった。 「オレやっぱ見てらんない。ちゃんとしなよ?」 それだけ言って優しいクラスメートでもありライバルでもある親友は去ろうとした。 不二はふと立ちあがろうとした英二の腕を掴み自分の方に引き寄せた。 そのまま自分の方が英二の中へ倒れこむ。 「不二?」 「・・・・・・・・・怖いんだ」 「コワイ?ってにゃにが?」 「失うのが。・・・とゆうより失った後どうなるのかが」 もし。 リョーマくんがいなくなってしまったら。 僕以外のひとのモノになってしまったら。 僕は平気でいられるだろうか? 一緒にいるのが―――怖い。 そう思ったらリョーマに近づけなくなる自分がいた。 「ハマりすぎちゃったんだよねー・・・」 もう彼がいなくちゃ生きていけないかもしれない。 ホントにそうなる前に――― 「ばっかじゃないのっ?」 菊丸は自分に倒れこんでいた不二の耳を思いっきりひっぱった。 「不二?らしくないよっ!??」 いつだって自信に満ちてて欲しい――― 「エージ・・・?」 「そんなの怖がっててどうするの?そのためにおチビに苦しい思いさせてるわけ?いま、おチビに必要なのは―――」 不二なんだよ―――? いま。 必要とされている―――? 「大事なのは、いまなんじゃないの?」 「・・・・・・ん」 がばっといきなり起きた。 「エージ?」 「にゃー?」 「・・・アリガト」 返って来たのは笑顔だった。 「ところで。さっき僕に向かってばかとかいわなかった?」 「にゃっ?」 「僕に対してそんなことゆうなんていい度胸してるよね―――」 ニコニコ。 天才不二周助。完全復活。――― すっきりした表情で不二は恋人のことを思った。 「リョーマくん・・・」 「なに?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 いきなり返ってきた返答に少し驚きながらもお互いを見詰め合う。 目の前にリョーマがいた。 少し生意気そうな顔を浮かべて。 僕は少しずつ恐る恐る手を伸ばした。 「・・・なんで?」 「?」 「なんで?なんで先輩オレのこと避けるの?菊丸先輩の方がいいんだったら、オレ、それでも―――」 さっきの光景が目に浮かぶ。 その言葉をかき消すように不二は濃厚なキスを仕掛けた。 「―――ぅんっ・・・」 「ゴメン、ゴメンね―――」 これでもかってくらいの強さで抱きしめる。 久しぶりのリョーマ感触。 リョーマも嫌がることなく逆に抱きしめ返してくる。 「謝るようなことしたの?」 「・・・うん?どうかなぁ。でも不安にさせちゃったでしょ?」 「うん。スゴク。ちゃんと責任とってよね」 「うん、もちろん」 もうリョーマも何もいわなかった。きっとさっきのを聞いていたのだろう――― 「オレ、絶対離れないからね」 そう、告げてきた。 「うん―――」 後日―――。 部室でレギュラー陣が見守る中こんな会話がなされる。 「せーんぱいっ」 「なに?リョーマくん」 「今日。先輩のおうちにいっていい?」 「うん。もちろんいーよ」 ・・・・・・・・・・・・をいをい。 こいつら心配だといったの誰だよ。 ラブラブじゃねーかよ・・・・・・・・・・・・。 その場にいる全員が思った。 written by koo hiduki ..... どうも樋月デス。なんかぼくが書くとやっぱりなんか・・・どれも似たり寄ったり(死)。 今回は初の2部構成デス。後半は不二サマサイドで書いてみました〜〜vv 不二サマ前回も不安に感じていたような・・・あんた不安に感じさせ過ぎ;;;。 |