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君と、それから ..... A Happy New Year in 2004 夕方6時半。 掃除も終えて、後はTVを見つつ年を越すのを待つばかり。 越前家も例に漏れず、時が経つのを蕎麦を突付きながら待っていた。 アメリカ暮らしの長い一家であるので、妙に日本人らしい生活というものに両親は拘っている。 かくいう、リョーマもまたアメリカンより和風が好きな傾向はあるが。 「はい、年越蕎麦ね」 母さんが4つ温かいお蕎麦を用意して、みんなで席についた。 リョーマは出された蕎麦を、ずるっと啜る。 みんなで今年はどうだ、とか、この蕎麦がちょっと伸び過ぎだとか、他愛もない話しで場を持っていた。 もう蕎麦が無くなる頃。 「紅白まで。後30分ね」 奈々子さんはそう言ってまたキッチンへと立った。 奈々子さんと母さんはおせち料理の準備が終わらず2人だけ大忙しだ。 ―――そうなると男2人は暇なわけで。 「なんだ、リョーマ。いい年してカノジョと初詣とか行かないのかぁ?」 「うっさい、セクハラ親父」 ニヤニヤして聞いてくる父親を一蹴して、こっそりリョーマは携帯を見つめた。 着信、一件。 メールだ。 『掃除、終わった?』 …不二先輩だった。 リョーマは急いで蕎麦の残りを啜って「ごちそうさま」と言って席を立った。 階段を登りながら返事を打つ。 「『終わって、今蕎麦も食べた』…っと」 なんとも味気ないメールだったが、リョーマはすっかり笑顔だった。 リョーマが返事を送信するとまたすぐさま返事が返って来る。 『僕の家も終わったよ。じゃあ、今からそっちに行っても構わない?』 「え!?」 これにはリョーマも慌てた。 お正月って。 …家族で質素に過ごすもの…、とかじゃないのか?と首を傾げる。 ここにこんな時間に今から来るというのだから、きっと年も越してしまうつもりなんだろうと思ったからだ。 正月の過ごし方にはリョーマの片寄った認識があるが、そこはまあ置いておこう。 『別にいいですけど…家の方は?』 そう打って返すと、またすぐ返って来る。 『家族は昨日からハワイなんだ。だから、行ってもいい?』 ハワイ。 なんと格の違う家族なんだろうか。 金持ちだ、金持ちだと思っていたが、そこまでとは。 どこぞの芸能人のような暮らしっぷりである。 「母さん!」 念の為、と母親に確認を取ればすぐさま了承を得た。 それを聞いて了承の意を不二にも返す。 それから返事はなかったが、きっと彼のことだからもう既に準備もしてあって、あと30分もすればここに現れるだろうことが予想された。 だからリョーマはそれまでお茶の準備やお菓子の準備を始める。 時折、先輩と一緒に向かえる年越を想像して笑みを浮かべながら。 ―――約30分後。 本当に不二先輩は現れた。 「いらっしゃい」 リョーマはそのまま不二を2階の自分の部屋へと案内する。 TVをつけて一緒に紅白を見たりして。 2人で寄り添って、ただ、何もしないでTVを見ていた。 背中に感じる温もりに安心感を感じながら。 紅白が終わって「ゆく年くる年」が除夜の鐘を放映し始めた頃。 「眠い」 万年睡眠王子なリョーマは落ちてくる瞼に逆らうことが出来なくなっていた。 「おやすみ……」 ぐっすりと寝初めてしまうリョーマをくすりと不二は笑って見つめた。 肩にかかる重みが、また、愛しい。 不二はちょっとリョーマの位置をズラして、自分の方へと向けた。 そして軽く唇を重ねる。 唇を奪われたことも知らずにリョーマは眠り続けていた。 「おやすみ…リョーマ君」 ―――今年も、よろしくね。 言葉を心で投げて、不二も目を閉じた。 written by koo hiduki ..... …お布団で寝ないのか。ネタが見つかりませんデシタ、ゴメンナサイ。 |