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優しく髪を撫でられながら、頬に唇を寄せられる。 リョーマはくすぐったそうに目を閉じた。 「リョーマ君‥‥」 唇に息を吹きかけながら甘く名前を呼ばれる。 恐る恐る目を開けると、至近距離には恋人の綺麗な顔。 限りなく優しい笑顔で見詰められ、顔が徐々に熱くなるのがわかる。 この自分にだけに見せる心からの優しい笑顔は大好きだが、ひどく居心地が悪い。 リョーマは思わず顔を背けた。 「どうして向こうむいちゃうの?」 「‥‥‥‥」 「リョーマ君?」 頬に両手を添えられて、無理矢理正面を向かされる。 おそらく赤くなってるであろう顔を見られたくなくて、リョーマは俯いた。 「リョーマ君‥‥顔見せて?」 「‥ッ‥‥ヤダッ‥‥」 「どうして?僕の事キライ?」 「ッ‥キライ‥‥じゃない」 「なら顔見せて?リョーマ君の可愛い顔が見たいんだ」 「‥‥‥‥ヤダ‥」 今にも消えそうな声で、リョーマは恋人の要求を拒否する。 「リョーマ君‥‥」 不二はリョーマの柔らかでサラサラの髪に顔を埋める。 「‥‥‥好きだよ」 耳を刺激する恋人の甘い声。 「君が好きだよ‥‥‥リョーマ君は?」 自分の名前を呼ぶ優しい声。 「リョーマ君は僕の事好き?」 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥好き」 小さな声で、でもしっかりと不二の耳に聞き取れた、愛しい愛しい恋人の告白に、 微笑みを濃くした。 「じゃあ、顔見せて?」 「‥‥‥‥‥‥‥やだッ‥恥ずかしいもん」 「何で?」 「だって‥‥絶対‥顔、赤いもん‥‥」 「なんだ、そんな事で拗ねてたの?‥‥‥」 クスクスと不二は嬉しそうに笑う。 「‥‥わらわないでよ」 リョーマは思わずムッとして顔を上げる。 確かにリョーマの顔は真っ赤に染まっていた。 少し潤んだ瞳に、赤く染まった頬で上目遣いで見上げられ、可愛い事この上ない。 「ゴメンゴメン‥‥あまりにもリョーマ君が可愛すぎてね」 不二は愛しそうにリョーマを優しく抱き締めた。 しかしあやすような恋人の行動に、リョーマは益々不機嫌になってしまう。 「‥‥やっぱ不二先輩なんてキライ‥」 思わず口にしてしまう本心ではない憎まれ口。 しかしそんな事はお見通しの不二は、それに微笑みを濃くしただけだった。 「うん、僕も好きだよ」 「だからキライだってば‥‥」 「うん、好きだよ‥」 「‥‥大ッキライ‥」 「僕も大好きだよ」 「〜〜〜〜〜〜ッ‥」 リョーマの顔はますます赤くなる。 「‥‥‥キスしていい?」 「‥‥‥‥ヤダ」 「どうして?」 「先輩なんかキライだもん」 「うん‥‥だったらいいじゃないか」 「だからキライだってばッ‥‥」 「うん、君が僕の事大好きだって‥ちゃんとわかってるよ」 消える事のない優しい笑み。 自分がこの笑顔が好きな事を絶対この恋人は知っている。 知ってて、この顔で聞いてくる。 敵わない。 この人だけには絶対。 心の底からリョーマはそう思った。 これだけ自分の心を掻き乱し、翻弄させる事が出来るのはこの人しかいない。 そして決して口には出さないが、この人以外に振り回せれるのは嫌だと思う。 不二だから、不二周助だから‥‥。 誰よりも大好きな人だから‥‥‥。 「〜〜〜ッ勝手にすればッ!?」 「うん、そうさせてもらう」 そう言って不二は、真っ赤に染まったリョーマの頬に唇を落とした。 それから髪に、額に、瞼に、鼻と、順番にキスする。 そして最後、唇と唇が重なり合うまで後1〜2センチの所で不二は止まった。 「今度はリョーマ君からして?」 「‥‥‥‥何でッ‥」 「だってリョーマ君、僕の事大好きなんでしょ?」 「ッ‥‥」 「それに‥‥リョーマ君からキスしてほしいんだ」 唇に吐息がかかる。 触れそうで、触れない唇。 「ね?キスして?」 至近距離で、自分が大好きな綺麗で優しい笑顔でそう言われて逆らえるだろうか? リョーマは真っ赤な顔を更に赤くして、少しつま先を立てながら不二の顔に自分の顔を近づけた。 リョーマから不二への軽く触れるだけのキス。 それだけでも、不二にとっては大満足だったらしく、本当に嬉しそうに微笑んだ。 「じゃあ、僕からのお返し」 そう言って不二はリョーマの唇に、自分の唇を合わせた。 先ほどの触れるだけのキスとは違い、深く口付ける。 「んっ‥‥や‥‥」 歯列をなぞり、舌を進入させて、逃げるリョーマの舌を追いかけ絡め取る。 お互いの唾液が混ざり合う音が耳に響く。 激しいけれど甘いキス。 「ふっ‥‥」 数分続いた甘く深い口付けにリョーマ足をふらつかせる。 そんなリョーマを、しっかりと不二は優しく抱きとめた。 「大好きだよ」 そう言って耳を甘噛みされる。 それに感じてビクンと身体が跳ね上がる。 「愛してる」 優しく抱き締められながら、甘いセリフを耳元で囁かれて、 リョーマはその心地よさに浸っていた。 「‥‥‥‥‥‥‥ダイスキ」 そしてそう呟きながら、ぎゅっと不二に抱きつき、胸に顔を甘えるように摺り寄せた。 「‥‥‥‥‥まいったな」 耳元では不二がちょっと困ったように呟いた。 それに不安になったリョーマは思わず顔を上げる。 すると珍しく顔を赤らめた不二の姿が瞳に映る。 「そんな事されると我慢出来なくなっちゃうよ?」 「え?」 「ねえ、してもいい?」 そう言って不二はリョーマの細い腰を引き寄せ、服の中に手を潜らせた。 素肌に触れるひんやりとした手の感触に、身体が震える。 その先に待ち受ける行為を受け入れる為に、リョーマはぎゅっと目を瞑った。 そんなリョーマを、不二は優しい眼差しで見詰める。 二人の甘い時間はまだ終わらない‥‥‥‥。 |