++ quarrel with each other ++




「リョーマ君、気持ちイイ?」

「ん‥‥ちょっとイタイ‥」

「そう?じゃあこれでどうかな?」

「ッ‥やだイタイってば‥」

「でも痛いけどその痛さが気持ちイイんじゃないの?」

「う、うん‥‥そうかも」

「もっと気持ちよくしてあげるよリョーマ君vv」

「んッ‥‥」

「どう?」

「あ‥‥気持ちイイ‥」

「ここは?」

「うん‥‥先輩ってウマイね‥」

「そうかな?リョーマ君は感度いいねvv」

「もうッ‥何言ってんの‥‥あ」

「フフフ‥」





「お前等‥‥」

目の前で繰り広げられている光景に、 盛大な溜息と眉間に更に皺を寄せて、青筋を立てている手塚は思い切り低い声で呟いた。
左手に持っていたシャーペンはバキバキと今にも折れそうである。

「何?手塚、邪魔しないでよね」

にっこりと楽しそうに微笑みながら、顔だけを手塚に向ける不二。


バキッ‥


その微笑みに一層怒りが深まり、ついに握りめるシャーペンは見るも無残にも屍と化した。
ただのプラスチックの欠片となったシャーペンの残骸は、がパラパラと床へと落ちる。

「あーあー勿体無い、まぁ僕のじゃないからどーでもいいけど」

「ねぇ不二先輩‥‥もうオシマイ?」

「ああ、ゴメンゴメン、手塚なんか放っておいて続きしよっか?」

「うん、早く‥‥‥‥」

「いけない子だねリョーマ君は‥‥そんなに好きなんだ?コレ」

「だって気持ちいいもん‥‥不二先輩の マッサージ



そう、別に不二とリョーマは○○○な行為をしていたわけではなく(笑)、 不二がリョーマにマッサージをしていただけである。

「でも、何でマッサージが好きなのにいけない子なの?」

「ああ、気にしないで、そういう言い方したら燃えるしねvv」

「燃える?何が?」

「こっちの話だよ」

けれども、たかがマッサージ、されどマッサージ。
不二は床に横になっているリョーマの上に腰の当たりに膝立ちになって跨って、 その手は背中や腰を揉んでいて、体勢が非常に怪しすぎる。

そんな光景に勿論手塚は面白くない。
実に不愉快な気分を味わっていた。


「不二、もう少し真面目にやれ」

「僕はいたって真面目にリョーマ君にマッサージしてるけど?」

「そんな如何わしい体勢でやっていて、何処が真面目だ」

「この体勢が一番やりやすいんだよ」

「嘘つけ‥」

「へえ‥‥この体勢の何処がどーゆーふうに如何わしいの? 言ってみてよムッツリスケベの手塚国光君」

「なんだと‥」

「聞こえなかった?ムッツリスケベって言ったんだよ、目だけじゃなくて耳も悪いんだね」

「貴様こそ、色々と影で卑劣な事をやった汚い手で越前に触るな」

「手塚のクセに言ってくれるじゃないか‥」

不二はゆっくりと立ち上がり、手塚を正面から見据える。


バチバチバチ‥


2人の間に飛び散る火花。

キングオブ青学の名を持つ青学最強の部長手塚国光と、 天才にして青学最凶であり影の支配者と名高い不二周助。

揃いも揃って2人共、青学テニス部の王子様、もといお姫様である 可愛い1年生ルーキー越前リョーマを溺愛していた。
もちろん他の部員達も溺愛しているが、表と影の支配者が怖くて手が出せない。

しかしそんな2人の関係を、リョーマは全く知らなかった。
自分の事に関しては鈍いリョーマは、 テニスが強い2人が同じ位好きだったので、 どちらか選ぶなどせず常に2人にくっついていた。

それに不二と手塚は嬉しさ半分、面白くない半分で複雑だった。
そりゃそうである、2人共リョーマの一番になりたいのだ。
その為にはとにかくお互いの存在が邪魔でしかなかった。
常にこの2人はリョーマを間に挟んで殴り合い寸前の、一触即発の冷戦状態にある。




「そうだ!部長横になって?」

「「は?」」

不二と手塚の間に流れる黒いオーラを一瞬にして吹き飛ばした、 2人が愛してやまないリョーマの少し高めの声。
突然のリョーマの言葉に意味不明な不二と手塚は、 同時に間の抜けた声を出す。

「あのね、不二先輩に色々と教わったから部長にマッサージしてあげる!」

「え‥」

嬉々として無邪気に笑うリョーマはとてつもなく可愛い。
手塚は思わず動揺する。


「‥‥‥俺にされるのイヤ?」

嬉しすぎて中々答えられない手塚を誤解したリョーマは、 首を傾げて、少し悲しげに上目遣いで見詰める。
その犯罪的に可愛い姿に手塚は思わず「うっ」と口に手をあてる。

「そ、そんなワケないだろう!」

「ホント?」

「ああ」

「よかった」

嬉しそうにそう言って微笑むリョーマは、しつこいようだがめちゃくちゃ可愛い。
不二と手塚はその笑顔に思わず顔を綻ばせる。
ちなみに不二はリョーマが手塚にマッサージをするという事実は勿論めちゃくちゃ面白くなかったが、 その笑顔に何も言えないでいた。


「じゃ、横になって下さい」

「わかった‥」

手塚は促されるままに、俯けに寝転がる。
するとリョーマは「よいしょ」と、手塚の腰の上に跨ってから腰を降ろした。

「なッ‥」

そんなリョーマの行動に不二は青ざめる。

「じゃあ行きますよー」

「駄目だよリョーマ君!」

リョーマが自分以外の男に乗っかるなんて耐えられないとばかりに、 不二は慌ててリョーマの身体をひょいっと持ち上げた。

「ほぇ?」

突然身体が宙に浮いたので、リョーマは意味不明。
自分を持ち上げた不二の顔を不思議そうに見詰めた。

「不二先輩?」

「こーゆー事はね、僕以外にしちゃ駄目だんだよ?」

めっと子供を軽く叱るように、不二はコツンとおでことおでこを合わせる。

「何で?先輩、さっき俺にもしてたじゃん」

そう、先ほど不二はリョーマに膝立ちながらも跨ってマッサージをした。
リョーマは不二を真似しただけのつもりなのできょとんと首を傾げる。

「僕はいいんだよ、でもね手塚には刺激が強すぎるから」

「シゲキ?」

「そう、手塚は溜まってるから君みたいに可愛い子は何されるかわかんないよ?」

「‥おい」

さりげなくとんでもない事を言われて、手塚は身体を起こしながら不二を睨む。

「何、本当の事じゃないの?」

不二も負けずに睨み返す。

「貴様みたいに所構わずやるワケないだろうが」

「へー‥」

不二はリョーマを下に降ろして、手塚の正面に立つ。

睨み合う2人の姿は、犬猿や コブラとマングースというより まさに龍と虎。


「どーせ毎晩リョーマ君の事考えて抜いてるクセに」

「貴様に言われたくない」

「否定しないんだ?」

「それは貴様もだろう?」

「僕はいいんだよ、いずれ実際にリョーマ君に抜いてもらう予定だし」

「何だと‥‥」

「別にいいじゃないか、それとも何?リョーマ君は君のモノなの?」

「お前のモノでもない」

「時間の問題だけどね、今の所不本意ながらも最大のライバルであろう君は甲斐性ナシだし、 全然余裕だよ」

「誰が甲斐性ナシだ」

「そんなの君に決まってるだろ、せいぜいその左手で自分を慰めたら?」


段々争いの内容が下品になっていくが、もう止まらない。





「ねえ」

クイクイと、不二と手塚の袖口を片方ずつ握り締め、 交互に上目遣いで見詰めながらリョーマは問い掛けた。
その瞬間、周りの空気が急激に黒から白へと変わる。

どうやら、リョーマ自身が絡んでくると、 やはり2人の間の険悪ムードは何処へやら消えてしまうらしい。

「何?」

「何だ?」

先ほどまでのお互いを睨みあう表情はすっかり消えうせ、 リョーマを見詰める2人の表情はとても穏やかであるのがいい証拠だ。

「溜まってるってナニが溜まってるの?」


しーーーーーん


2人は見事なまでに真っ白になって固まった。


「それからナニ抜くの?」

不思議そうにきょとんと首を傾げるリョーマは、これまたしつこいがとてつもなく可愛い、可愛すぎる。
その純粋な瞳を見て、2人共ひじょーーーに返答に困った。

そしてお互いの顔を見合わせる。


「貴様が変な事を言うから‥」

「君もだろ」

「お前が最初に吹っ掛けたんだ」

「君が僕とリョーマ君の愛の時間を邪魔したからだろう?」

「何が愛の時間だ、セクハラの時間の間違いだろう?」

「リョーマ君は「気持ちいい」って喘いでいてくれたよ、 だから残念だったね、セクハラとは言わないんだ」

「喘ぐだなんていちいち浅ましい言い方をするな、お前の頭の中はそれしかないのか?」

「フン、いつかリョーマ君は僕の下で喘ぐ予定だから別にいいんだよ」

「いつかという日は、いつくるのかわからない日の事を言うんだ。 そんないつくるかもわからない日を夢見るなんて馬鹿馬鹿しい」

「そーゆー君だって、甲斐性ナシな上に意気地ナシだからそんな日、一生来ないね」

「何だと‥」

「何さ」

再び険悪ムードになって飛び散る火花。

結局止まらない不二VS手塚の言い争いはまだまだ続く‥‥‥‥。





「‥‥‥‥‥‥‥‥‥ツマンナイ」

自分を巡って不毛な争いを続ける2人を見て、リョーマは不服そうに呟いた。
原因が自分にあるとは露とも思っていないリョーマは、 不二と手塚は自分を無視して話をしているとしか見えないらしく、ひどくご立腹である。



「帰ろうかなぁ?」

2人の話(言い争い)を黙って見ているのに飽きたリョーマは、 無常にも黙って部室から出て行ってしまった。


そして不二と手塚の言い争いが一段落するまで小一時間かかり、 2人が気付いた頃にはリョーマの姿は部室の何処にもなかった。

それに関して、また2人の言い争いが続いたのは言うまでもない。







END


美憂ちゃんに頂いてしまいましたのですっ★不二VS手塚の王子争奪戦。
オオウケデス(笑)受けてイイのかどうなのか、とってもよかったデス。
素晴らし過ぎ!!!!!不毛な戦い・・・確かに。でも見てるこっちはおもろいです(≧▽≦)
いつか決着の着く日は来るんでしょうかネ・・・あはは。

ホントウにアリガトウございました><!!


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