Be In Love 1
from haruhi, special thanks



〜っっっ!!!!」

 不意に、体に重みがかかる。
 後ろからいきなり抱きつかれたのだ。
 こんなことするヤツ、一人しかいないわ・・・。

「・・・ちょっと英二。重いんだけど」
「おっはよー!今日も朝から可愛いにゃあv」
「あのねぇ・・・」

 私は、。青春学園中等部3年。吹奏楽部で一応部長をやっている。
 んで、今私に飛びかかってきたのは菊丸英二。クラスメートで、いつも何かしら喋っている。コイツが静かなのって、見たことがない。
 いつも抱きついてきて、何故か可愛い可愛い連呼しまくる。
 だけど私は、そこら辺にいる普通の女子と同じで、特別可愛いって訳でもない。私より可愛い子なんてたくさんいる。・・・なのに、英二はあたしを可愛いという。
 うーん・・・なんで!?

「ねぇねぇー、今日の夜さぁ、ヒマ!?」
 突然英二が切り出した。
「うんヒマだよ。どして?」
「あのさぁ、駅の近くのでっかい公園のツリー見に行かにゃいっ!?」
「・・・・はあっ!?」



 こうして、英二の突然のご希望により、何故か私は駅の近くの公園に行くことになった・・・。


「うわぁーっ!きれい!」
 私は、目の前に広がるイチョウ並木の綺麗さに、感嘆の声を上げた。
 イチョウ並木はライトアップされていて、とてもきらびやかになっていた。
 さっすがクリスマスシーズン!!
「すっげー・・・!夜なのに明るい!」
「しっかしなんで私が英二とこーゆーカップルがウジャウジャといるとこに来なきゃいけないかなぁ」
「いいじゃーん!でもホント綺麗だにゃあ。来て良かったにゃあ vv」
「うっ・・・、うん!」
 英二が満面の笑顔を私に向けたので、ちょっと胸が高鳴った。
なんで英二にドキドキしなきゃなんないのよーっ!!
「じゃあ行こう、!」
「ああ、う、うん」
 駅の近くの公園は、県内でもけっこう有名なとても大きな公園。これを公園と呼んでもいいの、と疑問を抱いてしまうくらいバカデカくて、観光客もたくさん来る。今日は土曜の夜ということもあって、人は数え切れないほどたくさんいる。
 だから私は、はぐれたりしないかな、と不安が胸をよぎった。

「ほら!あそこにサンタさんがいるよーっ!」
「あっうん!」

 英二がはしゃぐから、私もつい、調子に乗ってはしゃいでしまった。
 
 ・・・私はこの後、もうちょっと気をつけとけばよかった、と、ひどく後悔することになる。
 そんなこと知る由もなく、私は英二の後に続いた・・・。





「―――――・・・あんのくそえーじっっっ!!!」


 人混みの中、私は我をも忘れて叫んだ。怒りに任せて、といってもいい。
 あの、胸をよぎった不安は的中。
 そう。今まさに、私は英二とはぐれ、一人ぽつんと立っている。
「だって、だってさ。英二が悪いんだよ・・・」
 きれいきれいと言いながら走り回るのはいいけど、人混みの中にいることを忘れないでほしかった。 
 それを不満に思いながらも必死で英二を目で追ってたけど、いつのまにかヤツは消えていた。やっぱりいろんな意味でもアイツは猫だなぁ。
「やっぱり英二とこーゆーとこに来るの、間違ってたかなぁ」
 そう呟いても、聞いてくれる人はいない。ていうか、みんな私を避けてる。
 こういう時、日本人は冷たいなぁと、自分も日本人でありながらも思うものだ。
 ちょっと虚しくなって、私は道の端の石造りのベンチに腰をかけた。
「寒っ・・・」
 少し強い風が通り過ぎ、私は身震いさせた。
 こんなに冷え込むんだったら、もっと厚着してくればよかった。薄いジャンパー1枚だけじゃやっぱり寒い。
 マフラーくらいなんで持ってこなかったんだろう。
 私はため息を一つついた。

 
 英二なんかと来なきゃよかった。
 来なければ、こんな寂しくて切なくて苦しい想い、しなくてもすんだのに。
 ・・・そう思ってる反面、やっぱり私のそばにいてほしい、とも思った。
 なんだかんだ言っても、やっぱり夜、外に一人でいるのは怖い。
 誰かにそばにいてほしい。
 でも、そばにいてくれるのがだれでもいいってワケじゃ、ない。
 ―――・・・英二が、いい・・・。
 ふと、その言葉が浮かんできた。
 なんで?どうして?
 他に男子はたくさんいるじゃない。
 英二は女子から見てかっこいいけど、他にもかっこいい人は、たくさんいる。
 ううん、英二は外見だけがかっこいいんじゃない。
 お調子者で、気分屋で。
 いつも感情任せに動いてるけど。
 本当は、すごく優しくてあったかくて、私を幸せな気持ちにしてくれる。
 ときどき英二のことを考えると、変な気持ちになる。
 

 コノキモチハ、ナニ―――?



 ・・・だけど、どうしてあんなに周りを見ないで突っ走れるかなぁ!?
 私は空を仰ぎ、嘆息した。
 手持ち無沙汰に、流れゆく人並みを見つめ、来てくれないかな、と願ってみる。
 でもそんな願い、お調子者のアイツに伝わるはずもなく、時だけが過ぎていった。
 


 早く会いたいよ、英二―――。





                             2話目に続く・・・>>>




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