「〜っっっ!!!!」 不意に、体に重みがかかる。 後ろからいきなり抱きつかれたのだ。 こんなことするヤツ、一人しかいないわ・・・。 「・・・ちょっと英二。重いんだけど」 「おっはよー!今日も朝から可愛いにゃあv」 「あのねぇ・・・」 私は、。青春学園中等部3年。吹奏楽部で一応部長をやっている。 んで、今私に飛びかかってきたのは菊丸英二。クラスメートで、いつも何かしら喋っている。コイツが静かなのって、見たことがない。 いつも抱きついてきて、何故か可愛い可愛い連呼しまくる。 だけど私は、そこら辺にいる普通の女子と同じで、特別可愛いって訳でもない。私より可愛い子なんてたくさんいる。・・・なのに、英二はあたしを可愛いという。 うーん・・・なんで!? 「ねぇねぇー、今日の夜さぁ、ヒマ!?」 突然英二が切り出した。 「うんヒマだよ。どして?」 「あのさぁ、駅の近くのでっかい公園のツリー見に行かにゃいっ!?」 「・・・・はあっ!?」 こうして、英二の突然のご希望により、何故か私は駅の近くの公園に行くことになった・・・。 「うわぁーっ!きれい!」 私は、目の前に広がるイチョウ並木の綺麗さに、感嘆の声を上げた。 イチョウ並木はライトアップされていて、とてもきらびやかになっていた。 さっすがクリスマスシーズン!! 「すっげー・・・!夜なのに明るい!」 「しっかしなんで私が英二とこーゆーカップルがウジャウジャといるとこに来なきゃいけないかなぁ」 「いいじゃーん!でもホント綺麗だにゃあ。来て良かったにゃあ vv」 「うっ・・・、うん!」 英二が満面の笑顔を私に向けたので、ちょっと胸が高鳴った。 なんで英二にドキドキしなきゃなんないのよーっ!! 「じゃあ行こう、!」 「ああ、う、うん」 駅の近くの公園は、県内でもけっこう有名なとても大きな公園。これを公園と呼んでもいいの、と疑問を抱いてしまうくらいバカデカくて、観光客もたくさん来る。今日は土曜の夜ということもあって、人は数え切れないほどたくさんいる。 だから私は、はぐれたりしないかな、と不安が胸をよぎった。 「ほら!あそこにサンタさんがいるよーっ!」 「あっうん!」 英二がはしゃぐから、私もつい、調子に乗ってはしゃいでしまった。 ・・・私はこの後、もうちょっと気をつけとけばよかった、と、ひどく後悔することになる。 そんなこと知る由もなく、私は英二の後に続いた・・・。 「―――――・・・あんのくそえーじっっっ!!!」 人混みの中、私は我をも忘れて叫んだ。怒りに任せて、といってもいい。 あの、胸をよぎった不安は的中。 そう。今まさに、私は英二とはぐれ、一人ぽつんと立っている。 「だって、だってさ。英二が悪いんだよ・・・」 きれいきれいと言いながら走り回るのはいいけど、人混みの中にいることを忘れないでほしかった。 それを不満に思いながらも必死で英二を目で追ってたけど、いつのまにかヤツは消えていた。やっぱりいろんな意味でもアイツは猫だなぁ。 「やっぱり英二とこーゆーとこに来るの、間違ってたかなぁ」 そう呟いても、聞いてくれる人はいない。ていうか、みんな私を避けてる。 こういう時、日本人は冷たいなぁと、自分も日本人でありながらも思うものだ。 ちょっと虚しくなって、私は道の端の石造りのベンチに腰をかけた。 「寒っ・・・」 少し強い風が通り過ぎ、私は身震いさせた。 こんなに冷え込むんだったら、もっと厚着してくればよかった。薄いジャンパー1枚だけじゃやっぱり寒い。 マフラーくらいなんで持ってこなかったんだろう。 私はため息を一つついた。 英二なんかと来なきゃよかった。 来なければ、こんな寂しくて切なくて苦しい想い、しなくてもすんだのに。 ・・・そう思ってる反面、やっぱり私のそばにいてほしい、とも思った。 なんだかんだ言っても、やっぱり夜、外に一人でいるのは怖い。 誰かにそばにいてほしい。 でも、そばにいてくれるのがだれでもいいってワケじゃ、ない。 ―――・・・英二が、いい・・・。 ふと、その言葉が浮かんできた。 なんで?どうして? 他に男子はたくさんいるじゃない。 英二は女子から見てかっこいいけど、他にもかっこいい人は、たくさんいる。 ううん、英二は外見だけがかっこいいんじゃない。 お調子者で、気分屋で。 いつも感情任せに動いてるけど。 本当は、すごく優しくてあったかくて、私を幸せな気持ちにしてくれる。 ときどき英二のことを考えると、変な気持ちになる。 コノキモチハ、ナニ―――? ・・・だけど、どうしてあんなに周りを見ないで突っ走れるかなぁ!? 私は空を仰ぎ、嘆息した。 手持ち無沙汰に、流れゆく人並みを見つめ、来てくれないかな、と願ってみる。 でもそんな願い、お調子者のアイツに伝わるはずもなく、時だけが過ぎていった。 早く会いたいよ、英二―――。 2話目に続く・・・>>> |