12月24日。

世に言う、「クリスマスイブ」。
聖なる夜は、恋人たちの夜である。

また本来はイエス・キリストが生まれた日であり、


ここにも、ひとり。





Happy Merry Chiristmas―赤い糸伝説の続き― ..... Happy Birthday to Ryoma



それは本当に偶然だった。

その日、菊丸英二は本当にご機嫌で学校の廊下をスキップするかのように歩いていた。

「エージ、こけるよ」

後を追う形で歩いていた同じクラスで親友でもある不二が少し声を上げて言った。
彼が「ご機嫌」である理由が判るので、諦めたように息を吐く。

「へっへ〜♪今日はおチビちゃんの誕生日だもんね♪」




そう、イエス・キリストの誕生日でもあるこの日は青学の王子…いや、お姫様の誕生日でもある。

そしてその恋人である菊丸英二は、2倍に盛り上げようと画策していた。



「で」


不二はご機嫌の菊丸を冷静に戻す。

「それで、ご予定は?」
「んっとねー」


俺んちでー俺の手料理振舞って、ロマンチックな雰囲気に持ってっておチビちゃんを………

―――イタダキマス。



菊丸はこっそり用意したプレゼントを渡した時に喜ぶ顔を想像して笑った。










部活が終わって、先に着替え終わった菊丸はドアの向こうでリョーマが出てくるのを待っていた。
それはなんとなくの配慮で、皆もリョーマに祝いの言葉を言いたいだろうし…というのもあった。


そしてそれは中から自然と聞こえてきた会話の一部で。


「リョーマ君は、今日はどうするの?」
「え………エー…菊丸先輩んちに泊まる」
「なんだよ、越前、お前家に帰らないのか?」
「リョーマ君ちはクリスマスパーティとかやらないの?リョーマ君の場合誕生日も兼ねてるからプレゼントも豪華なんじゃない?」
「んー…でも毎年そうやって一緒にされるから、たまには別々にやりたいんだよね」


プレゼントも2個欲しいし。
それが普通でしょ?





……。

「え?」




“2個欲しい”



ドアの外で、英二はその言葉一つで固まった。










「お邪魔しまーす」

菊丸家に着いた時は既に5時になっていた。

「お腹空いたっしょ?今なんか持ってくから部屋上がって待ってて」

と無理矢理リョーマを上がらせ、下準備を済ませておいた料理の数々を仕上げていく。
その間にも、普段動かない頭の中身をフル回転させていた。


どうすればいい?

一個は…用意した。もう一つは?
あああああ。


二階へ上がる足取りも自然重くなる。






「おチビ、お待たせ」

綺麗に料理を並べていく。
部屋にある机いっぱいに並んでからシャンパンを振舞った。

「クリスマスの定番だよにゃ!」

ただの炭酸…というひともいるだろうが、アメリカ育ちのリョーマにはこんなのはアルコールとも言わないだろう。
乾杯、とからんと氷を鳴らす。


「ハッピーバースディ」

と低く言った。


「Thank you,……Merry Chiristmas」

それに返してリョーマが流暢な英語で発音した。

それから菊丸はリョーマを自分の方へと引寄せた。



「はい」


とおそろいのグリップと、小さいバッグを渡す。
ロマンチックなものよりも、こっちの方が喜ばれそうだし、使ってくれそうだからこれを選んだ。

「かっこいーじゃん」
「使ってくれる?」
「もちろん」

本当に嬉しそうに微笑んだ。





「あと……さ」

歯切れ悪そうに英二は続けた。
すっと、左小指を持ち上げる。

そこには、赤い糸が結んであった。

リョーマの左小指も取って結ぶ。

「赤い糸って知ってる?糸の先にいるひとは運命のひとなんだって」

俺の運命のひとはおチビちゃんより他にいないんだよ
だから、この糸が切れてしまわないように



「さっきのはクリスマス。誕生日には……俺の一生分をあげる…ううん、来世もその次も」


拒否られたらどうしよう…とおそるおそる顔をあげると、リョーマはちょっと困ったように笑った。


「エージ、さっきの聞いてた?」
「?」
「部室で言ってたやつ」
「……うん」
「…そっか」


リョーマは再び微笑む。
自分の為に何か用意してくれようと、一生懸命考えてくれたであろう時間が嬉しくて、菊丸に思いきり抱きついた。






「俺、クリスマスプレゼント用意してないから。エージには俺をあげるよ」








だから“ありがとう”




written by koo hiduki .....






過ぎた…過ぎちゃったよ!!書き直せたら書き直したいです。
C嬢へ。ネタを考えてとかイキナリ行ったのに、ホントに考えてくれて有り難う!!



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