パスポート(中・高校生4800円也)を買い、中に入るとまずミッキーとミニーがいた。

「おチビ!ミッキーと写真撮っておいでよ」
「横に並んで。僕が撮ってあげるから」

写真が趣味というだけある、不二が携帯用の多少ズームの効くカメラを持ちリョーマを促した。

「はい、チーズ」

帰国子女にチーズって通じるのかなとか考えつつもミッキーの大きな手に頭を撫でられてるリョーマをシャッターに納めた。
リョーマは丁寧に「ミッキーさんありがとう」と言いながら嬉しそうに握手をする。

(ただの人間が入ってるだけなのに…リョーマくんは可愛いね)

余程中学生らしからぬことを考えているやつもいるが、ここは夢の国。

そう、すべてが夢。





Mickey Holiday ..... 4th game



「じゃあー♪まず何からいく?」

英二が嬉々として今や横型になったパンフレットを(ああ、僕の小さい頃は縦長だった…/イチイチ突っ込むなよ)広げていく。

「とりあえず!混んでるとこからいくべきだと思う!」

ここで書き始めた時にはファストパスもシーも存在しなかったのに今やシーはおろかイクスピアリやヴォンヴォヤージュ、ディズニーリゾートラインも出来ているので、作者がだいぶどこまで存在していることにしようか考えているのだか、とりあえずファストパスはあることにして話しを進めようと思う。

…とにかく、ナレーションはあくまで状況整理のために存在するので軽く読んでおいてくれれば幸いです。
こんな自分勝手なナレーションなんて普通ないと思うのでその辺も深く突っ込まないでプリーズ。




ともかく、リョーマたち一行はスプラッシュマウンテンのファストパスを取り、そのままビックサンダーマウンテンに向かった。
…先日この乗り物、事故起こしてますしね。国が違いますが。
「うん、これに乗ってから行ったらきっとちょうどいいんじゃないかな」

不二がパンフレットを片手にざっと全てのエリアを見る。

リョーマはと言えば嬉々としてビックサンダーマウンテンの山を見つめる。
そこへほい、と菊丸がアイスを差し出した。

「そこのアイス。ミッキーの形なんだよん」

自分もミッキーの耳の部分を齧りながら、アイスを不二と手塚にも不本意ながら渡す。

「かわいい…」

リョーマはそのかわいいアイスを見て食べるのが少し惜しくなったりしている。
けれど溶けてしまうので急いで封を切った。



「「「あ」」」

リョーマがそのかわいさを見つめている間、不二と手塚はさっさと食べ初めていたわけだが、手塚の食べていたアイスはこの暑さのせいなのか溶けるのが早く棒からミッキーがすべりおちた。…まだ耳しか食べていないのに。

「手塚…もったいないことすんにゃ…」
「……すまない」

さすがの手塚も勿体無い気持ちでいっぱいだ。アイスに。
仕方ない、と手に残った棒を近くのゴミ箱に捨てる。


「ここね、夜来ても綺麗なんだよ♪山の中に置いてあるライトセットが青とか色付いてるから」
「へー…エージ先輩詳しいんスね」
「何回も来てるし!」
「部長は………初めて、そうっスね」
「………あぁ」

期待を裏切らない男・手塚国光。
遊園地―――というより“夢”の国と程遠そうな男である。

「おチビはアメリカのも行ったことないの?」
「行ったコトないっスよ」
「じゃあさ、おチビの子供時代って?」
「……今も子供じゃないんスか」

……王子、ごもっとも。今も子供である。
ため息をつきつつ、リョーマは自分の子供時代へと意識をトリップさせる。


覚えている頃から既にラケットを握り始めていて、
テニスをして父親と遊びでやってたテニスが段々試合にも出るようになって……

―――俺の人生ってテニス一色?
それも人生である。全米ジュニアで優勝をする程の腕前なのだから常人以上の努力が必要であったであろう。


あ、そういえば向こうの友達は元気かな、と思い出しつつ少し懐かしさに浸り、王子の顔は懐かしさに覆われた。
なんだかそれ以上は突っ込めなくなって、話題を変更させる。


「手塚の子供時代って有り得ないよね」

話題変更なのか、菊丸がそんなことを言い出す。
ちょっと青筋立ってませんか、手塚さん。(笑)

「…不二だってそうだろう」
「僕は普通だよ。姉さんや裕太と遊んだり」
「…不二兄弟の遊びって?」
「うーん、テニスとかキャッチボールとかもしたけど。呪ったりもしたなぁ」

呪ったりってなんですか、不二先輩。

「エージは判りやすいよね」
「そうっスね」
「にゃ、何だよ、ソレー!」
「「「そのまま」」」

菊丸が叫んだところで、ようやく階段を上りきり、列は乗り物乗車位置が見える位置まで進んだ。
そこでふと気付く。―――この乗り物が2人乗りだということに。

人数は4人。…どうする?


「ここは…潔く、じゃんけん…!?」
「そうだね…」

きらん、と先輩たちの目が光る。
そんな彼らをよそにみんなの王子様が声を掛ける。

「あ、乗り方。いろんな組み合わせのがいいっスよね。ローテーションにします?」


にこにこにこ。


笑顔で告げられてしまえば、惚れたものの負け、「グットアイディア!」とうっかり同意してしまう。

「「「…そうしようか」」」

……不本意ながら、と顔に書いてはあるものの、これで必ず王子の隣に座る機会は均等に訪れるわけだ。
さて、目下今回は?

「じゃ今回はエージでいいよ」
「え?なんで?」
「別に。こんなことで争うのもバカらしいじゃない。この後の乗り物では順番が来るわけだし?エージ、手塚、僕の順でリョーマ君の隣に座ろうよ」

はっきり言って不二からこんなことを言い出すなんて怪しいとしかいいようがないのだが、疑問に思いつつも菊丸も手塚も納得をしていた。
不二の言うことももっともであるし、第一争っている間に順番が来てしまう。
だが、少々強引に納得をした2人にこっそり笑みを浮かべるものが1人…。


「何名様ですか?」

にっこりと笑顔を振りまいてお姉さんが人数を聞いている。
「4名です」とこれまたかわいらしい笑顔つきで、本日はじめての乗り物に思いを馳せているリョーマが答える。

「では、5番6番の位置へどうぞ」

言われた通り、5番にリョーマと菊丸、6番に不二と手塚がそのてすりで区切られた中へと進んだ。
「楽しみっスね」
そういいながら、にっこりと本当に楽しそうに順番待ちしているリョーマに隣にいる菊丸はなんて可愛いんだ…!とあまりの可愛さは罪だ!!とか一人感動している。
……その様子に「しっかりしなよ」と不二から足蹴りを、手塚からは冷ややかな視線をくらったのが…。


前回の乗客を降ろした乗り物がゆっくり入ってくる。
「足元にお気をつけてお乗りください」
お姉さんの声を聞きながら、リョーマ、菊丸の順に乗り込んだ。

「ドキドキしますね、エージ先輩」
「うんv」

ちょっと緊張しているのかそれとも気分が高潮しているせいか、少し頬が赤い。
こんなリョーマが見られるのは最初だけだろう。
菊丸は後ろの2人に対し、意地悪い笑みを浮かべた。

ぴ、ぴ、ぴーん

「あ、動くよ。おチビ、しっかり捕まってな」

そう声を掛けると、ぎゅっと力を込めて手すりを握りなおしていた。
そして、乗り物―――ビックサンダーマウンテンは勢いよく動き出し、気持ちのよい風が彼らに吹き付けた。



乗り物はだんだん勢いを増して、リョーマは思わず叫び声が出そうになった。
楽しい。彼らも中学生、手塚などはほんとに少ししか表情が変わっていなかったが、楽しそうであった。
リョーマはまだ列に並んでいるひとたちの側を横切った際に、思いっきり手を振ったりしてみた。
小さい子供が、一生懸命手を振っていたから……。




乗り物のスピードが速いだけ、終わる時間も早い。
そう、極端なことを言ってしまえば、試合と同じ。
興奮した時間はあっという間に終わった。
止まったジェットコースターから、降りて満足そうにリョーマはにっこりと笑った。

「面白かったっスね」

興奮して、本当に楽しそうなその笑顔を見れただけで、ほわんと幸せを味わった。




written by koo hiduki .....






アイス事件。実話です(笑)手塚は空です。チョット固まりました…折角買ったのに。
王子の過去はもうちょっと練りたいですな。



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