『・・・リョーマ』
優しく包んでくれるその腕はもう存在しない。
その腕を振り切ったのは自分だから。
枕が濡れて、乾く事を知らない。

溢れる涙は止まる事を忘れた。



「国光・・・」






behind the scene4 ..... thanks 7000 HIT for あみ様



『ん・・・っ』
優しく壊れそうに細く綺麗な肢体を包むように抱き寄せ口付ける。
息遣いも苦しく漏れる愛しい恋人の声。それすらも愛しいと思える。

『もう飽きちゃったから。俺にはアンタなんていらないからさ』


『bye-bye』

突然離された唇から漏れるのは別れの言葉。

『リョーマ・・・っ!』









はっ。


「夢、か・・・」

手塚が目を離すと見慣れた自分の部屋の天井が目に入った。
夢でありながら夢でない事実。
昨日・・・確かにリョーマは自分に別れを告げ、不二の元へと去って行った。
自分にはそれを止める権利はない。
それがリョーマの幸せだというのなら、自分はそれを受け入れるだけだ。


手塚は昨日のキスを思い出して唇に触れた・・・。











「おはよう、手塚」
「おはよう、大石」
「早速なんだが、今日の練習の事で・・・。メニューを書いてきたんだが、こんな感じでいいか?」
「・・・いいんじゃないか」

一通り目を通すもあまり理解は出来ない。

「そうか、じゃぁこのまま乾に渡してくるよ」
「頼む」

大石はそのままプリントを手塚から受け取ると乾の元へ向かった。

「・・・・お、早いな、越前」
「・・・ちっす」
「いつもそれぐらいだといいんだけどな」

大石が笑ってそのまま出て行ってしまう。
部屋に残されたのは―――手塚と越前の二人。



「・・・・・・」

リョーマはそのまままるで手塚はいないように振るまいさっさと着替えてさっさと出ていこうとした。


「・・・リョーマ・・・っ」

反射的に呼びとめてしまった。
リョーマはコチラを見ようともせずに、ただ足だけを止めた。


「何スか。『部長』」


その言葉は、今までの関係がただの部活の先輩と後輩の関係に戻ったのだといわんばかりであった。

手塚は何も言う事が出来なかった。何を言って良いのかすら判らなかった。


「何でもないなら、俺行くんで。あと」

何か言ってくれるのかと手塚はじぃっとリョーマの背中を凝視した。
振りかえって何の想いもない表情でリョーマは冷たく言う。

「・・・名前、呼ばないでください」




暗くなった、気がした・・・。


















「・・・・・・ッ・・・」
「リョーマ君、嬉しいよ・・・僕だけのものになったんだね・・・」

いとおしむようにリョーマを撫でて舐める。

ふとリョーマを見ると必至に声を出さないように堪えていた。


「声・・・出しなよ」
「・・・・・・」
「・・・出せってば!」

ぱんっ・・・

と思わず不二はリョーマの頬を叩いた。

けれど何も感じない状態のままリョーマは俯いた。





何カガ壊レテイク音ガシタ・・・。
















「リョーマ・・・?」

眠る、リョーマの頬に軽くキスを落とす。

『心はやらないから』

あの時の言葉が身体を巡る。


「リョーマ・・・っ、愛してるよ・・・」

耳元で囁いて大事に大事に撫でた。

君が欲しいんだよ。
君だけが欲しいんだ。
それ以外望んでいないのに。

「ん・・・国光、俺も・・・」

ドウシテ神様僕ニ与エテクレナイノデスカ。



はっ・・・とリョーマは目を覚まし、自分の言った言葉に口を抑えた。

けれど、もう、言葉を戻す事は出来なかった・・・。


























「手塚、ちょっといい?」

不二は問答無用でそれだけいって振り返ると人気のない方へと向かった。手塚は慌てて不二の後を追いかけた。



「不二?何だ?」
「・・・リョーマ君て、ホント可愛いよね」
「・・・何を・・・」
「結構すぐイっちゃうし。感じ易くて。彼の中に入る瞬間が溜まらなく気持ちいいよ」

唯一彼を支配出来る瞬間だから―――

「・・・・・・」
「・・・だけど」

「君がいる限りリョーマ君は僕のものにはならないんだよ」







すっと不二はサバイバルナイフを取り出した。

「だから消えて?」

にっこりと微笑んで不二は止める間もなくそのまま手塚にぶつかってきた。



「不二・・・!」






















「国光っ!」





最後に愛しいひとの声が聞こえた気がした。















赤い


赤い海が



広がる







海の真中に浮かぶのは、焦がれてやまない愛しいひと













「リョーマ・・・っ」
「リョーマ君・・・!?」



不二が刺したのは手塚ではなく―――

倒れているのはリョーマだった。

目の前が暗くなって倒れそうになる。
信じられない光景が目の前に広がっていた。
手塚は必死で頭をフル回転させて迅速に事を促した。

「おい、不二、早く救急車呼んでこい」
「え・・・」
「早く行け!」
「・・・わかった」

不二は急いで職員室に向かった。


手塚はリョーマに歩み寄り必死に呼び掛けた。

「バカ・・・っ何でここにお前がいるんだ・・・」
「・・・不二先、輩・・・ぶちょ、とこ・・・見て、た・・から・・・」
「もういい、喋るな」
「ね・・え、国光・・・」
「何だ、喋るなと言っている」
「俺のこと、好・・き?」


赤く染まる手を必死に伸ばすその手をやっと掴むことが出来た。
もう離したくない、と切実に願った。


「ああ、愛してる」


「よか、た・・・」

リョーマは力が抜けたように目を閉じた。



「おい、起きろ・・・起きて、俺に・・・」










俺にお前の本心を聞かせてくれ―――




























ぴっぴっぴっ・・・

白い部屋の中で正常な脈音を伝える機械音だけが聞こえる。
部屋の主はぼんやりと自分の心音を聞いていた。

「ビックリしたなぁー・・・お前三日間も目を覚まさなかったんだってな。まーよかったよ」
「うん・・・」
「まー早く直してテニスしようぜ、な。今はゆっくり休めよ」
「ありがと、桃先輩」
「そいじゃ、また来るからよ」

そう言って桃城は席を立ち上がり扉に向かった。

「あ、ちっす。部長。今越前起きてますよ?」
「そうか」
「先失礼しますね。また学校で」
「ああ」



国光・・・?


近いようで遠い場所で交わされる会話でリョーマは新たな来訪者を悟った。



「調子はどうだ・・・?」

リョーマは身体を起こそうと身じろいだ。

「・・・そのままでいい」

少し浮いたリョーマの身体を手塚はゆっくりとベットに戻した。



「・・・部長」
「・・・なんだ?」
「あの・・・」

リョーマには今なんていっていいのかわからなかった。
謝る事も何も言う事が出来ない。

台詞に困っていると手塚が口を開いた。


「不二は・・・」

ばっと思わず引き攣った顔を上げた。

「不二は・・・あれから学校に来ていないんだ」

壊れたような目線をしていた、救急車を見送る不二の視線を思い出す。


「・・・そ、っすか・・・」
「アイツも・・・淋しかったんだろうな」

淋しい・・・か。
自分を求め焦がれる姿は真実だったかもしれない。

それでも―――・・・



「リョーマ」

手塚は寝ているリョーマの上に覆い被さった。

「部長?」
「名前で呼んではくれないか?それと・・・聞きたい事がある」
「何?」



「お前の、本心が聞きたい・・・」





手塚は本当に苦しそうにリョーマの顔を見つめた。



それでも、選ぶのは―――・・・














「好き・・・。国光だけを愛してる・・・」











病室の窓から春の風が吹いた。




written by koo hiduki .....






なんてベタな終わり方(寒)春風って・・・。でも平和そうかなと思いまして・・・。
連載ものはオチにも期待されるので結構苦手です(期待してないから/爆死)
書いてたらこんな展開になってしまったんスけど、よかったですか?(聞くな)
最初のタイトルでfor T×Rって入っていたのですが、「そこでバラすのも早いな、をい」
と思い消しました。だから代わりに"・・・"と入れておきました。

当初コレはリクで書いたものなので・・・塚リョに不二が虐める、だったのに虐めるで
済んでないので(死)、最後は塚リョに持ってきました。(不二リョENDも書きたいなぁー/をい)
不二様がどうなったのかは・・・ご想像にお任せします。僕的彼のエピソードはありますが
敢えて入れませんでした。何せ空はBAD END好きなので(をい)

最後にリクしてくださったあみ様ありがとうございました。
よければ全て捧げます(いらない)読んでくださった皆様にも多謝。では。



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