無器用な愛情表現 ..... for SENGOKU FESTA'01



『お誕生日おめでとう』




俺はさっきからこの一言を言う為だけに苦悩している。
なんかこのひとのこの幸せそうな顔を見たら・・・!
なんだか言いたいのはヤマヤマなんだけど、言いたくなくなってくる。
おあずけくらってる犬みたいに、俺のその言葉を待っている姿は年上の筈なのに可愛くて仕方ない。
それがまた俺の天邪鬼でプライドの高い性格が災いして台詞を言えなくしている。

「リョーマ君・・・まだ言ってくれないの?」
「・・・うっ・・・」
捨てられた子犬みたいな目を向けて言葉を催促しないで欲しい。
「リョーマ君は僕のことが嫌いなんだね・・・っ」
「なっ・・違―――っ」
「じゃぁ言ってv」
ニッコリと。してやったりといったような顔つきで。
俺は恋人―――千石清純にすっかりハマってしまったようだ。









俺たちは今千石家にいる。
今日は恋人である千石サンの誕生日で、どっかいこうかと言ったら彼自身が家にいるのが一番vと言った。
『だって、リョーマ君を食べちゃいたくなってもすぐ食べられるし―――』
こんなことを抜かしたので、この後リョーマから鉄拳が飛んだ。
でも殴りつつも、今日は彼の好きにさせてあげようと、彼の望むことは全部叶えてあげようと思っていた。
いつもいろいろしてもらっているから。
今まで貰って沢山の幸せを、清純にも感じて貰えるように。

二人の目の前にはさっき買って来たケーキがあって、それをつつきながらも無情にも時は過ぎていく。
こんなに長い時間一緒にいるのに大切なひとことは中々言えないもんなんだな―――。
「ケーキ、食べさせてあげる」
突然清純がそんなことを言い出して、しかも手で少しリョーマの前にあったショートケーキを取って口に近づけてきた。
「いーよっ・・・自分で食べるってば・・・」
「いいからv」
何でも叶えてあげよう―――っていう当初の自分の決心を思い出して、意を決してリョーマは少し口を開けて、清純の指ごとケーキを口に含んだ。
「うわーv色っぽいね、リョーマ君」
口の中にケーキを入れると、清純は手を引っ込めようとしたので、その手を掴んでリョーマは指についたクリームを舌で舐め取った。
頭を清純の胸に預けて寝そべりながら、丹念に舐める。
「俺―――こんなに清純が好きなのに。ちゃんと伝わってる―――?」
好き過ぎてどうにかなっちゃうんじゃないかってくらい。
好きで、好きで、仕方ない。
今日の大切なひとことが言えない自分を思うと、あんまり感情を口に出して来なかったと思う。
ただでさえ、違う学校で、あんまり一緒にいれなくて。
俺のこの気持ちはこのひとにきちんと伝わっているんだろうかと。




「分かってるから大丈夫だよ」




たぶんこういうだろうと思う。
彼は優しいから。
恋人である自分にはものすごく優しいから。
大好き―――・・・」
「え?」
リョーマは頭を振って体を起こし、千石の前に膝立ちして腕を首に回した。
千石の目をしっかり捕らえる。

「愛してる。これからもずっと一緒にいたいよ」


「―――お誕生日おめでとう」




言えた。
やっと言えた。
「最高―――に幸せっ」
千石はリョーマをしっかり抱き締めた。




written by koo hiduki .....






無器用ですから……ってか?(笑)



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