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※この小説は、去年のことを基づいて話しを進めております。 登場人物たちがまた同じ学年を過ごしているとしても、どうぞ気にしないでやってくださいませ(笑) WANTED!―happy birthday dear my lover After 1 year― ..... Happy Birthday to 手塚先輩 それは去年のこと――― あの、手塚国光にどうやら彼女がいるらしい。 それが発覚したのは去年の誕生日。 そしてその後尻尾を掴もうと手塚ファンのみなさんが必死に探したものの、女の影は見つからない。 当たり前である。 だって女じゃないんだから。(笑) そうして大暴走した女のこたちは、1年過ぎてようやっと強硬手段に出たのであった。 10月7日、生徒会長も知らないところで、女の戦いが始まろうとしていた。 ばばーんとでっかく掲示板に貼られたWANTEDの写真―――それは紛れもなくリョーマの…いや、手塚国光の彼女の写真であった。 っていうかこんなに大きい(どんなにでっかいかわかり難いですね、大体模造紙サイズだと思ってください)写真を見たら誰だった判るんじゃないだろうか? それが想い人なら尚更である。 「これ、おチビだよな」 「うん。リョーマ君だね」 「見間違えようがねーな、見間違えようがねーよ」 「……これは去年の…」 上から菊・不二・桃・大石の台詞である。 そこへ… 「ちぃース」 と未だに眠そうなリョーマが入って来た。 先輩たちが見ているのはなんだろう―――とか思って覗くなんていうがリョーマに関しては有り得る筈もなく。 そのまま気にせず着替えに入ってしまったので、桃城が立ち上がってご丁寧にテニス部に配られたチラシサイズのWANTED写真をリョーマに見せた。 「桃先輩?」 「これお前だよな」 「んなわけ…」 ないじゃないっスか、と口が言い掛けたものの、よくみればそれは一度は鏡で見たことのある自分だった。 「げ」 桃城が続けて女生徒がこの学生を必死になって探していることを伝えた。 「あのひと…そんなに人気あるんだ」 「まあ…手塚だしね。だからリョーマ君、あんな堅物辞めて僕にしなよ」 「不二、何言ってんだよ。…今はどうするかだよね」 そこへ… キラーンと光る眼鏡。 「越前、試してみないか?」 す、と差し出されたビーカーに入った赤い液体。 アヤシイ。アヤし過ぎる。 「あの…」 「これを飲めば―――そうだな、今後は絶対安全だぞ」 一体どういうことなのか。 どうやら迷ってる時間はない。 リョーマは恐る恐るそれを口にいれた。 最初はなんの変化もなくて、普通に朝練をこなしていた。 けれど、疲れが激しい。 気のせいか奥底が熱いし―――。 「リョーマ君ッ!」 太陽を見上げ、眩しい、と思った瞬間リョーマはそのまま地面に倒れた…。 最後に隣にいたカチローの声だけ聞こえた気がした…。 「リョーマ…」 「…ん…え、部長?」 「目を覚ましたのか」 「うん、俺、どうしたんスか」 「朝練中、倒れたんだ。―――が、驚くなよ」 「?」 「保健室に連れてくわけにはいかなかった。だから俺がココに残ったんだが」 手塚はじいっと自分の顔ではない部分を見ている、気がした。 何をそんなに気にしているのか?とリョーマは自分の体を見た。 …。 そんな。 有る筈もないものがある。 これって……… 胸デスカ??? まさに半分思考停止状態で、リョーマは乾の言っていた言葉の意味を理解した。 (っていうかこれじゃ事態を悪化させるだけじゃん!) この姿でいたらバレる。 確実に見つかる。 そう、リョーマ王子は女のこになっていたのである。 ちゃんと胸もあり、少し肩幅が減り、……男としての機能も完全に失われている、ようだった。リョーマは落ち着きなくそわそわと自分を抱き締めた。 「越前…」 「何、これ…」 考えて―――あの、赤い液体を思い出す。 「乾先輩か…」 「?何かされたのか?」 「なんか…液体くれたんス。明日から安全になれるって…」 あれっスよ、と部室の片隅に放置されているWANTEDのポスターを指差した。 「…」 手塚はそのポスターを持ちつつ固まった。 とはいえ、いつもと表情が変わらないので、固まってるんだが動いてるんだが判らなかったが。 「部……部長…?」 「ともかく……乾に聞いてくるから」 リョーマを残して、手塚は乾のところへと急いだ。 「乾!」 教室で乾を見つけると、廊下へと引っ張っていく。 いつ、誰かに聞かれるか判ったものじゃない。 「どういうことだ」 「何がだ?」 「越前だ。その…む、胸があったぞっ」 やや焦ったようにいう手塚部長、さすが堅物といわれているだけある。 「じゃあ、成功したんだな」 「……オマエやはり」 「なに言ってるんだ。『あの子』が存在すれば越前は疑われずに済む。立派な人助けだよ」 「……」 聞こえはいい。 聞こえはいいが…。 やっぱり楽しんでるようにしか見えない…。 「ともかく、それで全校生徒を騙してみるんだな」 ぽん、と紙袋を渡される。 「何だ、これは」 「ん?人助けアイテムその1だよ」 「一体いつ戻るんだ」 「明日には戻ってる筈だよ。戻る薬もないから今日一日は頑張ってくれ」 無責任な。 やはり楽しんでいるだけのように見える乾を残してまた部室に戻って行った。 「…越前」 「あ、部長、どうでした?」 「明日には元に戻ってるそうだ」 「……今日一日コレでいろって?」 「…ああ」 俺遊ばれてるだけじゃん、と深く溜息を吐いた。 「仕方ないね。家に帰りたいけど…母さんもビックリしちゃうだろうし。どっかに隠れてるよ」 「そうだな。今日はうちに泊まればいい」 「いいの?」 「ああ」 「じゃあ、後で家に電話しとく」 それから、と乾のいうところの「アイテムその1」を差し出した。 リョーマは乱暴に袋を開けて覗く。 「越前?なんだったんだ?」 「……あの先輩………ぜってー締める」 仮にも先輩だから、と思いつつも手塚は袋を覗く。 そう、恐らく去年着たであろう、女子の制服だった。 生徒会長であり、テニス部の部長でもある手塚まで授業をサボらせるわけにはいかない、とリョーマは部室から手塚を追い出した。 そしてリョーマ自身も、いつ部員が来るかもわからない部室にいるわけにもいかないと抜け出した。 図書室を目指して。 司書の先生がちょうどいないときだったのか、リョーマは図書委員をやっているがゆえに知っている部屋に潜り込んだ。 ココは整理のために使われる部屋で、実際余り使われていない。時計もあるし、窓も有る。もし、誰かが来たとしても本棚の間を上手く動けば見つからないし、放課後までやり過ごすにはまさに適している。 「なんでこんなことに……」 だいぶ脱力しつつもリョーマはその辺の本(洋書)を読み出した。 その後、手塚は焦りつつも、 リョーマは本読んだり寝たりと時間をやり過ごして、 放課後――― リョーマは出入りの激しくなる図書室を出て視聴覚室準備室にいた。 飽きたのもあるが、図書室は六時まで開いているため下手をすればその時刻までじっとしていなければならないし、鍵をかけられてしまう恐れもある。 それに、準備室ならテニスコートが見えるのだ。 テニスコートでは準備運動を終え、各練習に入ろうとしていた。 こんなことがなければ自分も出来るのに。 そこから見える乾をリョーマは呪った。 本格的に始まろうとしているその時だった。 煩い……、そう、リョーマには煩いものでしかない黄色い声が窓から聞こえてきた。 急いで窓に駆け寄ると、女生徒がテニスコートを囲んでいた。 見れば皆可愛くラッピングされたプレゼントらしきものを持っている。 「手塚先輩、オメデトウ御座います!」 …そんな、声がした。 皆手塚の誕生日だから、手塚にプレゼントを持って来たのだ。 「これじゃ部活になんないじゃん」 去年と同じ…。 なんでこうもあのひとは人気があるのか。 無視しよう。 そう決めたけど。 結局のところ、一人占めをしたいと願う自分の心には勝てずに、舌打ちを一つして視聴覚室を出たのだった―――。 「こんなんじゃ部活になんないにゃー。なー不二」 「んー……それももうすぐ解決されるんじゃないかな」 「へ?にゃんで?」 「今に判るよ」 不二が笑顔で見た先に、 走ってくる少女―――少女?が見えたのだった。 少女はまっすぐに去年と同じように手塚のもとへと走り寄った。 「部活の邪魔だよ。国光は、あんた等なんかのプレゼントを受け取ったりしないから」 そして軽く手塚の頬にキスをして、ふふん、と得意気に女生徒たちを見た。 わあ、っと泣き出すもの、その場から走り去るもの…多種多様な反応を見せる。 あのポスターを張り出したであろう、ファンクラブの会長かなにかなのか、リョーマの前にすっと出た。 「探したわよ。アンタ、手塚くんの何なのよ」 「………」 なんといっていいのか、判らず一瞬詰まったリョーマを大きな腕が包み込む。 「こいつは俺の『恋人』だ。手を、出さないでくれ」 手塚にまでそんなことを言われ、余裕がなくなったのかその場に残っていた女生徒が皆走っていく。 「アンタってホントもてすぎだよね」 「……そうなのか」 「自覚なし?」 まあいいや、今のが嬉しかったから。 クスとリョーマは微笑み、思い出したように乾を見た。 「やあ。薬は成功だったようだね」 「……俺は最悪っスけどね」 「えええええーーじゃあ、このこおチビちゃんなのぉ!?」 菊丸が驚愕した声を出す。 この胸はーーー!!とか言いながら軽く触ってみる。 「ちょ…っ、エージ先輩触らないでくださいよ」 「…どうでもいいけど、手塚はいつまでリョーマくんに抱き着いてるの」 不二に言われてパっと離れる。 「おチビの胸…やわらかい…」 「……なっ…何変な事言ってんスか!」 その夜――― 「あーぁっ散々だったっ」 「そうだな」 手塚の部屋でぼすん、と枕に顔を押し付けてリョーマはベットを占領する。 「……ごめんね」 突然謝り出すリョーマに手塚はわからない、と言った顔をした。 「誕生日。おめでとう。ちゃんと祝いたかったんだけど…プレゼントもないし」 照れくさそうに言うリョーマはまさに『恥らう乙女』だ。 「オマエがいてくれればそれでいい」 「……アンタって、よっくそんなくさい台詞を言えるよね」 苦笑を浮かべながら、リョーマは手塚にキスをした。 翌朝、リョーマの体は元に戻ってたそうな。 written by koo hiduki ..... 8割出来たんスよ…(言い訳)むしろ王子の誕生日が5日後なんですけど!! 塚殿の誕生日、ということでなく普通に楽しんでください。 |