とろける



「一口ちょーだい?」

リョーマはそう声を掛けて来た人物を見た。
2つ上の不二周助先輩だ。
一口ってなんだ?と一度思うもすぐそれが手にあるファンタの缶ジュースだと気付き素直に渡した。

「あ。・・・はぁ。いいっスよ。ドーゾ」

リョーマから少しぬるくなった缶ジュースが不二先輩に渡る。
受け取ろうとする先輩の長くて綺麗な手が触れる。

ドキ。


缶を持つ手がそのまま口許に向かう。
ごくごく・・・ごっくん。

先輩、何やっても綺麗だなぁ・・・
さらさらの髪とか、いままさにファンタが流れ込んでいく唇とか・・・

唇と唇が重なるモノ。

キス。
先輩にされるキスってどんなだろ・・・


それからファンタを返されてオレは困ってしまった。

だって。コレって。

オレはじっと先輩のカオを見た。あ、綺麗・・・
「・・・なに?そんなに見つめちゃって。ボクのカオになんかついてる?」

「いや・・・別に・・・・・・」

「あ、もしかして。ボクとの間接キスとか気にしちゃってるの?」


う。
まさにその通り。

さっきキスしたいとか考えちゃったから余計意識しちゃう。
でもそんなこと言ったらこのひとのことだからきっと・・・

でもオレは嘘つくのが苦手。
いまきっとスゴク真っ赤なカオになってる。

リョーマはそっぽ向いた。
見えないけど先輩がくすくす笑っているのがわかる。

「ねえ?リョーマくん?」

なんだか妙に声が優しい。何か企んでいるような。
なんかヤな予感・・・

「ホントのキスしよっか」
とゆう台詞と共に降ってきたディープ・キス。






「■×△○★!?」

していい、なんて言ってないのに先輩はオレにキスし始める。すぐ解放なんてしてくれない。
抵抗しようと手で先輩を引き剥がそうとするも努力空しく、逆に両手を押さえ込まれてしまって逆らえない。




「・・・・・・んっ。せ、んぱいっ」

なんとか不二先輩を引き離しやっと一息つく。
このひとわ・・・

「リョーマくんがいったんだよ?キスしたいって」
「う・・・って、オレそんなこと言ってない」
「とかいって」

ここでもう一度引き寄せられる。
わ。先輩カオそんなに近づけないで。きっとオレスゴク赤い。


「ホントは考えてたんデショ?」
得意げなカオしてる。それもちょーカッコイイ。
カオが近くなってきて・・・またキスする。

先輩ってキスがホントに大好きだよね・・・
って、オレもひとのこと言えないかな
でも先輩にされるんだったら何百回でも付き合ってあげる。
一息ついて目をつぶる。




どさっ




どさ?いまなんか物音がしたような。気のせいかな?
ま、いいや・・・いまスゴク気持ちいいし・・・・・・




「・・・ん・・・・・・」

そこでオレは目を開けた。
固。
「なっ・・・」

え!?ちょっとコレどーゆーことだよ!?
なんで?なんで、オレ・・・ちょっと待って・・・・・・
不二先輩は?




そしてオレと不二先輩は声を揃えて叫んだ。




「え・・・え・・・・・・えーじっ!!」

さっきまで不二先輩とキスしてたはずだったのに。
なのに。

なんでそれが菊丸先輩に変わってるわけ??

「エージ・・・キミ、どーゆーつもりなの?」(にっこり)

・・・。
不二先輩が怖い。絶対零度の笑顔だ。
菊丸先輩も不二先輩のこのカオを見て自分の運命を悟ったのか、犬を怖がる猫になっている。

・・・菊丸先輩もカワイイなぁ。
って、そんなこといったら不二先輩が妬いちゃうカモ★
んなわけないか・・・

「ちょっとエージ?ボクのリョーマくんに手を出すなんてどーゆーことっ?」
「え、ちょ、不二・・・っ」


先輩たちは言い争ってる。
その原因が自分であることがわかっているだけに嬉しくなってカオがにやけてくる・・・

リョーマはそろそろ止めてやろうかとゆっくり振り向く。


「先輩たち?そこら辺にしとき・・・・・・」

振り向いた先で2人が抱き合ってるのが見えた。しかも今にもキスしそう。
「なに、やってんの?」
そう口にしたけれどこの状況は一目瞭然。そのまま部屋から出てしまおうとする。


「ちょ・・・リョーマくんっ?」
「おチビ〜、待ってよー」
急いで二人が呼びとめる。でもそんなの聞く必要ないんだから。

「知らないっ」
オレがさっさと歩いているところへ二人同時に飛び掛ってくるもんだから、オレはそのままその場に倒れこんでしまった。

「・・・ってえ」

オレを下敷きに、菊丸先輩、不二先輩の順で重なっている。

「先輩、重い。早くどいて」
「不二〜。重いにゃ〜」
「あ、ゴメン。大丈夫かい?」


「大体!なんでえーじが入ってくるのさ」
オレ、びしっといってやる。
「だって〜。不二ばっかりズルイ・・・オレだっておチビちゃんとキスしたい!」

がく。
なんかオレ愛されてる・・・でなくて恥かしい。

「・・・それでなんで二人でキスしてるの」
「まだしてないよー!」
「まだってことはこれからするんだったの?邪魔してごめんねっ」

振り向きざまに不二先輩に口許を掴まれ、長いキスされる。
「や・・・せんぱ・・・・・・」
「ダメ。許してあげない。だってエージとキスしたんだよね?それって許せないよね」
「え?や・・・ちょ・・・・・・」
「それに。リョーマくんだってボクとエージが抱き着いてるの(キスは未遂だよ。)見て妬いてくれたんデショ?そのお礼もしなくちゃネ♪」
「・・・い、いいっ!いいってば!」


ああ、でも嫌がりながら半分喜んでる自分がいる。とろけそう。
オレは幸せの絶頂にいる気分だった―――




「ちょっと!!」
いきなり菊丸先輩が割ってはいる。
「不二、おチビちゃんを独占しすぎ!不二だけのおチビじゃないんだからネ」
はぁ・・・まだまだ前途多難カモ。。



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