失う大きさ



対不動峰戦―――

ダブルス1。不二・河村ペア。相手高の力強いショットを無理矢理返した河村が腕を負傷―――青学、棄権。これはボクの判断だった。

悪いとは思っていない。むしろ、最良だった。

―――河村はボクをかばって負傷したのだ―――。

それに・・・ボクは仲間を、恋人を信じていたから―――。

「不二先輩?大丈夫?」
シングルス2の代表でありボクの大切なひとが大きな瞳でただボクだけを見て尋ねてきた。
「え?もちろん大丈夫だよ?」
ボクは軽く微笑んだ。
「試合見てなくていいの?」
そう、尋ねると大切な彼―――リョーマくんはボクの首に少し背伸びして腕をかけた。
「ん・・・部長が不二先輩見て来いって」
「手塚が?」
「うん」

気を、使ってくれたんだろう―――

「ボクは、大丈夫だよ?」
安心させるために、微笑んで。
「・・・けど、気になるでしょ」

何が、とは聞かなかった。

わかっていたから。

ボクをかばって怪我をした―――

「大丈夫。大丈夫だよ。それに、オレ勝つし」
「え?」
「周助の分まで頑張ってるから」

ニコ。
そういってリョーマくんはスゴク綺麗に、可愛く笑った。
瞳が輝いていた。

ボクは思わず抱きしめていて。

「・・・うん。うん、ありがと。頑張って」
「頑張るから。ちゃんと見ててね?」
「もちろんだよ」

そういって見送った恋人はすっきりと、自信に満ちていたから。
かすめるばかりのキスをして、見送った。




それがあんなことになるなんて―――




ダブルス2、大石・菊丸ペア。さすがゴールデンペアとゆうか・・・。
エージはやるときゃやるからね。ライバルながらさすが親友・・・。

ああ、そうそう・・・シングルス1の海堂とリズムに乗ってる神尾とかゆうの―――まーいいや。
ボクにとって大切なのは次の―――・・・。

シングルス2、越前リョーマ(青学)VS伊武深司(不動峰)―――

2勝1敗で迎えた、試合だった。

中盤。リョーマくんが一時的に腕が麻痺するとゆう事態が起こった。
身体ごと回転させてボールを打ちにいったものの、握力も失われていたし・・・ラケットが腕を刷りぬけて―――飛んだ。

破片がリョーマくん目掛けて。

飛んできて・・・。

それから―――。

深い深い傷を負った。血が止まる事を知らなくて。




・・・どくんっ・・・




みんな止めたけど。
でも彼は続けるといった。

手塚は時間制限有りで許可したけれど。

止められない。ボクに止める権利はないけれど―――

「ねえ・・・リョーマくん・・・止めていいんだよ?」
「・・・やる」
「リョーマくん!」
「大丈夫だもん。・・・オレには不二先輩もいるし」

そういってまた自信に満ちた顔で笑った。

「・・・リョーマくん?」
「キスしてよ」
「え?」
「先輩のチカラ、分けてよ!」

小さな身体で思いきりボクをひっぱって唇を重ねた。

ボクはそのまま舌を絡ませ深いキスを仕掛ける。

「・・んぅ・・・・・・ふ・・・」
「・・・はぁ・・・頑張っといで、続きはあとでね?」
「うん!アリガト」


―――(試合シーン省略♪漫画参照)


「青学優勝だ!」

周りが盛り上がってる中ボクは急いでリョーマくんの元に駆け寄った。

「リョーマくん大丈夫?」
「ん、へーき」
片目だけで勝ってしまった愛しいひとをすぐ抱きしめたかったけれどあまりにギャラリーが多かったのでやめた。
「越前、すぐ病院に行った方がイイ・・・」
横から大石がそう、告げる。
「ああ・・・ハイ」
表彰式は受けずにリョーマくんは病院に行くことになった。

「ボクも行こうか?」
そう、言ったけれど。リョーマくんが表彰式を見ることを望んだから、残ることにした。

心配でたまらない。

お願いだからもう無理しないで。

ボクにとって君の存在はこれほどに大きいなんて。

「不二?」
「あ、エージ・・・」
「この後たかさんチで打ち上げするそうだにゃ〜」
「ボク・・・」
「おチビも一緒にね?竜崎先生に送ってもらうように頼んだって」
「・・・・・・」
「おチビちゃんならだいじょーぶだよ」
「エージ・・・・・・アリガトね」

気を使ってくれた英二に感謝した。

それから―――
おぼろげに表彰式とか憶えてるんだけれど、ボクのアタマの中はリョーマくんのことでいっぱいだった。

いま病院かな?とか。
車に乗ったかな?とか。

先生が一緒だから大丈夫だとは思うけれど・・・それでも心配だった。

気付いたら河村家の御寿司屋サンにいて。
けれどまだ、リョーマくんは来ない。

キキッ。

表で車が止まる音がした。
しばらくしてガラッとリョーマくんが扉を開ける。
「リョーマくん・・・ッ」
「あ・・・不二先輩」
「大丈夫だった?」
「・・・うん。別に異常ないって」
安心したら気が抜けてしまった。
そのままぽすっとリョーマくんの腕の中に倒れこむ。
けれど―――リョーマくんとボクの体型の差がそのまま崩れ落ちるとゆう結果になってしまった。

「もーっ、不二何やってんのっ?おチビちゃんもっ。早くこっちきて食べなよー」
エージが笑いながら話しかけてくる。

みんな笑って。

隣には大切なひとがいて。

ああ、と。ボクはやっと安心できた気がした。

「不二先輩?」
「何?」
「・・・ううん。こっち見て欲しかっただけ」
こんなカワイイことをいってくれる。

「それって押し倒して欲しいってこと?」
「そんなこといってないっ」
「それに試合中にも続きはあとで、って約束したじゃない」
「〜〜〜〜〜〜ッ。それはっ」
「それとも嫌なの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・嫌じゃない」
「じゃ〜今夜ねvv」
「〜〜〜〜〜ッ、周助のバカッ・・・・・・・・・・でも」
「でも?」

ふわ。

何かがボクの頬を掠めて。


「大好きだよ」


「ああっ不二ズルイ!!おチビちゃん!オレにも〜♪勝利のキスしてよ〜」
「・・・嫌っスよ」
「エージ?どさくさにまぎれてボクのリョーマくんに手を出そうとしないでよ」
「・・・うにゃ〜」


それからボクは見せ付けるようにリョーマくんにキスをした―――



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