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冬眠 「リョーマ君、明日何か予定ある?」 春休みだというのにテニス部は休みどころではなかった。 遠征試合や強化合宿等が続き、終了式を終えても生徒には休む暇もなかった。 4月に入り始業式まであとわずかというところでやっと休みが訪れる。 は春休みになっても恋人である越前リョーマと遊びに行けなかったので、ここぞとばかりにデートしようと考えた。 しかし。 「冬眠」 「は?」 リョーマの方から誘ってくれれば嬉しいがそんなことは絶対ないのでは自分から動く事にした。 たとえ強引だったとしても誘ってしまえばこちらのもの。 だが誘い文句に返って来た言葉は予想外のものだった。 「トウミン?」 あまりに予想外過ぎて最初は何を指しているのかすらわからない。 「明日は・・・冬眠する」 リョーマは確かにこういったのである。 冬眠・・・すなわち死んだように眠り力を蓄えるという事。 「つまり・・・寝て過ごすって事?」 「そう」 「なっ、なんで・・・!?折角やっとお休みなのに!」 「折角休みだから休むんじゃん・・・」 そう言えばそうなのだが。 けれどそれでは納得出来ない。 「春休み一度も遊びに行けなかったんだよ!?行こうよ!」 「やだ・・・疲れる」 「うー・・・」 今にも泣きそうなを前にリョーマはふーっと溜息を吐いた。 「・・・午後から俺の家で課題するならいいけど」 とそう言った。 はぴくっと耳を立ててそれでもいい!と即答した。 リョーマ君と一緒にいれて、宿題も終わるなんて一石二鳥。 明日午後の一時に、と約束して別れた・・・ ぴんぽーん 「はーい」と奥から声がして出てきたのはリョーマ君のお母様。 「あら。さん。リョーマ、多分まだ寝てるのよ。あがってちょうだい」 「お邪魔しますー」 「二階にいるから、起こしてやってちょうだい」 後でお茶持っていくわね、とリョーマ君のお母様は言った。 もう何回もはココ来ているので随分慣れたものだ。 とんとん、とリョーマの部屋に向かい、扉を軽くノックして開ける。 ノックしても返答はなかった。 「リョーマ君?」 部屋に入るとベットで今だ眠りを貪ってるリョーマがいた。 「もー。一時って約束したのに」 は半分飽きれてリョーマの寝顔を上から覗いた。 「りょ・お・ま・く・ん!」 少し声を上げて上半身を乗り上げて顔を覗き込む。 気持ち良さそうに眠る相手はうっすら目を開けてぼんやりと自分を呼ぶ相手を見た。 「・・・・・・?」 腕を伸ばしてそのままベットに引き摺り込む。 リョーマはぎゅっとを抱き締めた。 「きゃぁっ・・・リョーマ君!?寝惚けてるのー!?」 スゴイ・・・ 至近距離なのですが。 ドキドキドキ・・・ 「リョーマ君・・・」 「んー・・・」 遠慮なくを抱き締めて体に顔を埋めるリョーマにさらに心臓は壊れそうになる。 「リョーマ君、今日はお勉強するんじゃなかったの・・・?」 半分諦めてボソっと漏らす。 「もうちょっと・・・このままでいーじゃん」 ボソっと言っただけなのに、しっかりとした答えが返って来る。 「んー・・・、好きだよ」 そう言いながら顔を近づけてくるリョーマにははっとなり。 「もう目覚ましてるんじゃない!」 「まーいいじゃん」 ちゅ、と軽く口付けてから、またリョーマはを抱き枕にして目を閉じた。 「もー・・・」 仕方ないな、と思いながらも目を閉じてリョーマの「冬眠」に付き合ってやる事にした。 二人が焦って起きるのはその数分後のこと――― |