T嬢へ差し上げる切塚失敗作(死)



絶頂期に向って温度は上がっている。
学校は夏休みに入っているというのに、部活というのは休むことを知らないのか。
ましてや余計に暑いであろう、運動部の方が休みがない。
強ければ強いほど練習量は半端なく増える。

これを属に言う『運動バカ』というのだろうか。


「む?」

テニスバックを片手に帰宅中であった切原は電車の中でどこかで見たような顔に会った。

バッチリ視線を合わせてお互い考える事数妙―――先に気付いたのは向こうだった。

「立海の―――」
名前まで出てこないのか、けれど表情が変わらない(ようにしか見えない)ので何を思っているか読み取れない。
切原は思いきって相手の座っているボックスまで移動した。

「ちわ。ここ、いっすか?」
「・・・どうぞ」
「ども。・・・久しぶりっすね、手塚さん。憶えてます?」

自分を指差しながら尋ねると相手は軽く頷いた。

「切原、だったか」

憶えて貰えていたようで、安心して腰を据えた。
話しもすんなりと進める。

「どーっすか、青学の調子は?」
「・・・答える義務はない」
「ちぇっ・・・相変わらずお堅いっすね。また部外者扱いっすか。・・・おっと、そんなに皺寄せないでくださいよ」
「余計なお世話だ」
「じゃあ」

切原は途中からこちらを向こうとしない手塚の肩を掴んで無理矢理向かせた。

「決勝で。―――楽しみにしてますよ」




す、と手塚は肩に掛けられた腕を取り払い、無表情のまま(どう見ても)彼を見た。



「何故俺に構う」

彼にとっては当然の質問で、至極当たり前のように淡々と述べた。
それを聞いた切原は手塚のあまりの鈍さに少し飽きれたような、けれどそんな事でめげる男ではなかった。


「俺、手塚さんが好きだ」

さすが手塚というべきなのか、告白を聞いても―――しかも男のである―――彼は微動だにしなかった。
何の冗談かと思い、これだけ相手が必死に真剣に言っているのに対し、相手にもしなかった。(酷ッ)
そのまま何も答えず、帰ろうと立ち上がった。


「ちょ・・・ちょっと待ってくださいよ!」

行かれては困ると慌てて腕を引き止める。


「・・・離せ。お前の戯言に付き合っている暇はない」
「戯言・・・本気だってば」
「・・・・・・」

表情の堅い手塚に業を煮やし、切原は半ば押しつけるように唇を塞いだ。
何をする、言い掛けて薄く開いた唇に舌を入れてやり、濃厚になってくキスに手塚は頬を赤く染めた。

「・・・色っぽいね。誘ってんの?」


ズボンに手を掛けようとする切原。

(※切原くーーん、ココは野外でーす)





どん!




手塚は持っていた鞄で切原の頭を殴った。



・・・・・・

・・・




「いっ・・・てえ〜〜・・・」
「自業自得だ」

赤くなりながらも(説得力に欠ける)手塚は急いでその場を去ろうとした。





が。


腕を再び掴まれ、無理矢理後ろを向かされる。

眉に皺を寄せ、まだ何かあるのかと相手を促す。



「俺、本気だから。絶対オトすよ」


そう言ってちゅっと頬にキスをして爽やかに去っていった。



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