Cheap remuneration ..... for SENGOKU FESTA'01



「太一ー。これ運んでおいてくんない?」
「あー・・・うん、いいよ」
「これ、資料室に。さっき先生に頼まれたんだけど、俺部活あるしさ。悪いね」
「いいよ、気にしないで。部活、頑張って」
「さーんきゅっ。助かるよ」





よっと壇太一は数冊に及ぶ山のようなA4サイズの資料本を抱えた。
2階に上がる為、階段の方へ向かう。


「オマエ、さっきの資料本は?」
「あー。あそこで太一に会ってさ、押しつけちゃった」
「太一?うわーオマエ酷いな」
「いんだよ、アイツ言えばやってくれるし」

階段から聞こえるさっきのクラスメートの声―――。
でも太一は聞こえないふりをして資料室の方へ向かった。

言いたいやつには言わせておけばいい・・・。
自分には力がないから、逆らってもロクなことにはならないだろう。
僕にもっと力があれば・・・そう思いつつも太一はその考えをアタマから捨てた。

自分より背の高いとも思える高さの本を抱えて階段を昇ろうとした―――が、バランスを崩して本が手元から落ちた。


「ダメだな・・・僕って」


そのまましゃがんで散らばった本を拾い出した。

「オマエって相当のバカ?

突然上から声が降ってきた。
「さっきから見てたんだけど、そんなぐらぐらで、階段昇ろうなんてバカだなー。せめて2回に分けるとかにしたらいいのに」
すごく堂々としていて、バカにされたのになんだか圧倒された。
顔を上げると、やっぱり堂々とした―――まるで世界は俺を中心に回っているんだ並みの顔つき。
明らかに自分とは違うといったカンジだった。

ほーっと太一が見ていると、その男も散らばった本を拾い始めた。
「何ぼーっとしてるわけ?ほら、手伝ってやるから、早く拾いな」
「あっ・・・はいっ」

口の厳しいその男はさっさと本を持つと(しかも太一より多いくらい)、バランスを崩すことなくさっさと進む。
冊数の少ない太一の方が倒れそうになりながらも急いでその男についていく。




資料室は鍵が開いていたが中には誰もいなかった。
指定の場所を本を戻す。

「あの・・・ありがとうございました」
「や、別にいーんだけど」
「あ、あの、もしかして、テニス部の千石先輩ですか・・・?」
上履きの"千石"の文字を見て、有名なテニス部の先輩を思い出した。
太一は思いきって聞いてみる。
「あ、なんだ。俺のこと知ってるの?」
知ってるの―――ってことは本物だ。いや芸能人じゃないんだからそんな言い方もどうかと思うが。
「僕、壇太一って言います。千石先輩。改めてありがとうございました。あの、部活はいいんですか・・・」
「俺上手いからねー。少しくらいしなくても平気でしょ。あ、でも南に怒られるかな」
南―――確か、部長の名前だった。
太一は慌てて言った。
「あ、あのっ、ホントにごめんなさいっ。僕が・・・トロイからっ・・・」

「じゃぁさー太一。謝らなくていいから、お礼貰っていい?」
「お礼・・・ですか?でも僕お金もないし―――」
「や、金かからないから、大丈夫」
「え、なんでしょうか。僕に出来ることだったら・・・」




ちゅ。




千石に腕を引かれて、顔が側にあるなーと思ったら突然キスされた。
太一は驚きで目を丸くした。
その間にも千石の舌が太一の口を割って入って来てキスが深くなる。
「ん、ん・・・っ」
思いきり満喫した後やっと解放された。
千石は口についた唾液をぺろっと舐めて平然としている。

「あ、あの・・・!?千石先輩・・・っ?」
「お礼ねー。安いくらいだけど。今日はこのくらいで我慢しとくよ♪」
「お礼って・・・っ」
「ずーっとカワイイなぁーって思ってたんだよねvごちそーさま」

じゃ、俺行くねー。とさっさと資料室を出ていってしまう。
残ったのは冷たい本の山と、真っ赤な顔の太一と。




その日―――太一のおもしろくなかった学校生活ががらりと変わる日になった。
南部長に、男子テニス部マネージャー希望の紙を提出した。
千石清純という男に興味を持ってしまったから―――

明日からの学校が楽しみだ。



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