after the rainfall ..... for hyotei festa in 2002



「あ、雨・・・」

鳳は宍戸の練習に付き合って通常の練習が終了してからも、なおコートに残っていた。
時刻はそろそろ6時半を回ろうとしているところで、ぽつぽつと雨が降り出す。

「仕方ねえな、今日はこの辺でやめとくか」
「そうですね」

あまり強くならないうちに、と急いでボールを片付けネットを畳む。
既に自分たちが使っていた分以外は他の部員がやっていてくれたので、すぐに終わった。

雨はどんどん強くなる。
2人が部室に掛け込んだ時には既に土砂降り状態だった。


「少し濡れたな」

そういって宍戸は綺麗なタオルを引っ張り出し鳳に放った。

「雨・・・やみますかね」
「夕立だろ」


空を見れば真っ暗ではなく薄明るい。
なんだか不気味な色に見えた。


「悪いな、俺の練習に付き合せちまって」
「いいえ。俺も練習しないと鈍りますから」

宍戸は不動峰の橘という全国レベルの実力の持ち主だと聞いた彼に負けてから練習に身を入れるようになった。
長かった髪もばっさり切ってしまい。宍戸の決意の現れだった。


強かったから。

今まで負けたことがなかったからそんなに練習に身を入れることもなかった。

”氷帝”という名前が俺たちをより自意識過剰に陥れる。
ジロー先輩だっていつも寝てるし。そんなヤツラばっかりでも、それでも俺らは強かった。


宍戸さんが負けたって聞いた時、すぐレギュラー落ちの話しが持ちあがった。
敗者は切り捨てる―――榊監督の指針のようなものだった。
跡部さんもその後の電話で切り捨てることを承諾していたと聞いた。

多分俺だったら。

俺だったら、そこで諦めていたと思う。
監督や跡部さんにそこまで言われてもう一度戦える自信なんて俺にはない。



『長太郎。今度の試合、俺とお前でダブルスな』

そう言われた時正直驚きが隠せなかった―――宍戸さんが正直すごいと思った。
こんなに努力家のひとだとは思ってなかった。
俺はずっと一緒にいるうちにどんどん宍戸さんに惹かれていってしまった。
彼が一生懸命だったから、俺も頑張ろうと。勝利の2文字を宍戸さんにあげたいから。
だから、俺も負けていられない。


俺ももっと強くなるから、
もし、今度二人で試合に勝つことが出来たら。

その時は、この想いを先輩に伝えてもいいですか―――?



ふと鳳が顔を上げると宍戸が窓を開けて「あ、止んだぞ」と言った。

「帰りましょうか」


バックを持って部室を出ると水を被った景色が綺麗だった。



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