立場も重要さもそれゆえに生まれるプレッシャーも君はすべてを理解して、
それでもそこに立ち続ける―――そんな、君を、



支えてやりたいと願った。






深想 ..... for hyotei festa in 2002



氷帝学園、と中学テニス界で聞けば知らないものはいないだろう。
昨年の全国準優勝校であり、王者立海に続く歴史ある強豪校。
その自信はどこから来るのか個人が過大ともいえる自信を持ち、しかしながら一度その実力を見ればなるほど頷かざるを得ない。


特に。


特に現在の部長である跡部景吾の自意識…いや、自身過剰はテニス部内に留まらず、全校に有名であった。


性格は横柄でなんでも部員の一人を下僕同様に扱っているとかいないとか、

指を鳴らすだけで部員全員を従わせるだとか、

監督である榊太郎をそのテク(どのテクだ)でもっていい様にこき使い、常に自分の都合のよいように運んでるだとか、



とにかく巷で騒がれるのは良いと思われる噂はない。


誰もが、口に出さずとも判っているから。


嫉みたくもなるような実力を持ってその今の地位を得ていることを。



何でも出来た。

金と権力と、自分の実力があれば手には入らないものはないと思ってた。













「忍足」

名前を呼んでみても呼ばれた相手が振りかえることはなかった。


「忍足」

ただ、聞こえなかっただけかもしれないと思いとりあえずもう一度読んでみる。
だが案の定反応はない。
いつものことなのでわかっている。
跡部は少し溜息をついて低くもう一度読んだ。



「………聞こえてんだろ。侑士」


やっとのことで相手の興味を引くことに成功したらしい。
忍足は横になっていた体を起こしてちゃんと向き直った。


「なんや。そんなに構って欲しかったんか?」

意地の悪い笑顔を向けて、忍足は乱れた制服を少し整えた。


「あん?そんなんじゃねえよ」

てめえがちゃんと聞かねえからだろ、と不貞腐れた。


ふ、と表情を和らげ、忍足は跡部の頬に手をついた。
羽が触れただけのようなキスを唇に送る。


「跡部、香水変えたんか?」


いつもと違うニオイに敏感な鼻が反応してしまう。


「敏感、だな。昨日仕入れたばっかのやつだ」

気になるか?と目線で聞いた。


「別に。それに敏感なのは、跡部に関してだけやで」
「よくいうぜ」


それから何度も何度も、唇以外にも頬とか鼻、髪、耳に唇を触れさせる。



「跡部―――」


厭らしく動く手の動きに跡部がぴくっと反応する。


「その呼び方、やめろ」
「何?何て呼んで欲しいんか言うてみ?」


パっと触れていた体を離し、もう興味がなくなったといわんばかりに寝転んだ。



「おい」




「忍足」







「……侑士、」

「なんや」

「オマエ、自分だけ名前を呼ばせるのかよ」

「当たり前やん。呼んで欲しいからや。オネガイしてみ?」

「……バカか」

跡部は寝転んでる忍足に覆い被さって深いキスを仕掛けた。

仕掛けた方が段々仕掛けられていく。
主導権を握られて、跡部は一度逃れようと身を引いた。
それを強引に肩を掴んで体ごと、体勢を逆にし、忍足は更に攻めたてる。



「ん……」


ほんのりと赤くなる普段は不敵な顔に、忍足は満足そうに笑みを浮かべた。


「愛してるで、……景吾」

「んなのわかってるんだよ」


精一杯の減らず口を叩き、それでいて、もっと、と強請る唇をもう一度塞いだ。



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